文献詳細
特集 泌尿器科ベッドサイドマニュアル
Ⅵ 術式別にみた術前・術後管理
文献概要
[1]はじめに
尿道下裂は,欧米では男児300出生に1人,本邦では2,500出生に1人の発生率と比較的頻度の高い尿路疾患である1,2)。本疾患の形態学的所見は,外尿道口の陰囊側への位置異常,包皮の分布異常に伴う腹側包皮の短縮および尿道海綿体の形成不全による陰茎の陰囊側への屈曲などを特徴とし,軽度から高度症例までさまざまである。
尿道下裂の治療目的は,外尿道口を亀頭部に開口させ陰茎の屈曲を解消することにより尿流の良好な立位排尿と将来の性交渉を可能にすることにある。さらに最近の技術的進歩からより正常に近い外観を獲得することも求められている。よって一部の包皮の分布異常を伴わない亀頭型尿道下裂症例を除いて原則的に本疾患は手術適応と考えられる。
尿道形成術の術式は現在までに100種類以上が報告されており,合併症の軽減や審美的形態の改善に日々努力がなされてきた。各術式の適応は議論の多いところではあるが,おおむね以下のように選択される3)。
・軽度症例:tubulalized incised plate(TIP)法(図1),dorsal inlay graft(DIG)法(図2),meatoplasty and glanuloplasty incorporated(MAGPI)法(図3),Mathieu法など。
・中等度症例:TIP法,DIG法,onlay island flap法,free graft法など。
・高度症例:小柳法(図4),transverse preputial island flap法,二期的手術など。
尿道形成術はいまだ小児泌尿器科診療の中でも最も技術と経験を要する手術である。その治療成績は術者の手術手技に起因するところが大きいが,同時に周術期の管理も極めて重要な要因となる。本項では,代表的な周術期管理指針を紹介するが,術式が多種にわたるのと同様にその術後管理方法も各施設でさまざまであることをご承知いただき参照されたい。
尿道下裂は,欧米では男児300出生に1人,本邦では2,500出生に1人の発生率と比較的頻度の高い尿路疾患である1,2)。本疾患の形態学的所見は,外尿道口の陰囊側への位置異常,包皮の分布異常に伴う腹側包皮の短縮および尿道海綿体の形成不全による陰茎の陰囊側への屈曲などを特徴とし,軽度から高度症例までさまざまである。
尿道下裂の治療目的は,外尿道口を亀頭部に開口させ陰茎の屈曲を解消することにより尿流の良好な立位排尿と将来の性交渉を可能にすることにある。さらに最近の技術的進歩からより正常に近い外観を獲得することも求められている。よって一部の包皮の分布異常を伴わない亀頭型尿道下裂症例を除いて原則的に本疾患は手術適応と考えられる。
尿道形成術の術式は現在までに100種類以上が報告されており,合併症の軽減や審美的形態の改善に日々努力がなされてきた。各術式の適応は議論の多いところではあるが,おおむね以下のように選択される3)。
・軽度症例:tubulalized incised plate(TIP)法(図1),dorsal inlay graft(DIG)法(図2),meatoplasty and glanuloplasty incorporated(MAGPI)法(図3),Mathieu法など。
・中等度症例:TIP法,DIG法,onlay island flap法,free graft法など。
・高度症例:小柳法(図4),transverse preputial island flap法,二期的手術など。
尿道形成術はいまだ小児泌尿器科診療の中でも最も技術と経験を要する手術である。その治療成績は術者の手術手技に起因するところが大きいが,同時に周術期の管理も極めて重要な要因となる。本項では,代表的な周術期管理指針を紹介するが,術式が多種にわたるのと同様にその術後管理方法も各施設でさまざまであることをご承知いただき参照されたい。
参考文献
1)Snodgrass WT:Hypospadias. In:Campbell-Walsh Urology, 10th ed. edited by Wein AJ, Kavoussi LR, Novick AC, et al. Saunders Elsevier, Philadelphia, pp3503-3536, 2011
2)Asanuma H, Satoh H and Shishido S:Dorsal inlay graft urethroplasty for primary hypospadiac repair. Int J Urol 14, 43-47, 2006
3)浅沼 宏,宍戸清一郎,佐藤裕之,他:尿道下裂について:手術適応と各種術式の優劣は? 小児外科 38,366-369,2006
4)UTI共同研究会周術期感染予防ガイドライン作成ワーキンググループ:泌尿器科領域における周術期感染予防ガイドライン―小児手術.日本泌尿器科学会(編).pp31-34,2006
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