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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科66巻4号

2012年04月発行

文献概要

特集 泌尿器科ベッドサイドマニュアル Ⅳ ベッドサイド検査の実際 ■9.勃起機能検査

052 勃起機能検査(NPT・血管造影)

著者: 小谷俊一1

所属機関: 1中部労災病院泌尿器科

ページ範囲:P.288 - P.293

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[1]最近の勃起障害診療の流れ

 勃起障害(erectile dysfunction:ED)は「満足な性交のための勃起が発現できないか,維持できない状態」(米国国立衛生研究所のコンセンサス会議,1993年)と定義されている。本邦での疫学調査からの推計ED患者数は1,130万人前後といわれている1)。EDの原因の約50%はストレスや性的パートナーとの人間関係のこじれ,精神疾患などによる心因性(または精神疾患性)である。残りの50%は体に何か器質的な疾患のある器質性EDである。生活習慣病(高血圧,高脂血症,糖尿病,虚血性心疾患,慢性腎臓病など),神経疾患(脳血管障害,脊髄損傷など),陰茎疾患(ペロニー病,陰茎彎曲症など),内分泌疾患(加齢男性性腺機能低下症など),薬剤の副作用(向精神薬,前立腺肥大治療薬,前立腺癌治療薬),骨盤内悪性腫瘍術後(膀胱癌,前立腺癌,直腸癌などの術後)などが代表的である。特に中高年以上の男性ではEDの裏に糖尿病や虚血性心疾患が隠れている場合もあるので注意を要する。

 EDの診断・治療は患者にとって,できるだけ低侵襲で安全な手法から開始するのが鉄則である。幸い日本では1999年3月23日より経口ED治療薬のPhosphodiesterase Type 5阻害剤(PDE5阻害剤)が使用可能となった(保険未収載・自費)。現在,シルデナフィル(バイアグラ®),バルデナフィル(レビトラ®),タダラフィル(シアリス®)の3剤が発売されている。しかもこれらの薬剤は,心因性のみならず器質性EDにも有効である。このため,ED診療のプライマリーケアの段階では勃起機能検査は必ずしも必要でなくなった。

参考文献

1)白井將文:男性性機能不全―勃起障害に関する疫学的事項.概論―臨床統計(我が国および諸外国).日本臨床 60(増刊号6):200-202,2002
2)日本性機能学会・ED診療ガイドライン作成委員会:ED診療ガイドライン.ブラックウェルパブリッシング,東京,p16,2008
3)Karacan I, Scott FB, Salis PJ, et al:Nocturnal erections, differential diagnosis of impotence, and diabetes. Biol Psychiatry 12:373-380, 1977
4)Levine LA and Carroll RA:Nocturnal penile tumescence and rigidity in men without complaints of erectile dysfunction using a new quantitative analysis software. J Urol 152:1103-1107, 1994
5)永尾光一,三浦一陽,石井延久:勃起機能検査.臨泌 56(増刊):90-94,2002
6)小谷俊一:リジスキャン.泌尿器科外来シリーズ第6巻―Erectile Dysfunction外来.内藤誠二(編),メジカルビュー社,東京,pp56-68,2000
7)Kaneko S and Bradley WE:Evaluation of erectile dysfunction with continuous monitoring of penile rigidity. J Urol 136:1026-1029, 1986
8)泉 和義,川西泰夫:〔ED診療のコツ 私はこうしている〕画像による診断へのアプローチ.臨泌 65:369-375,2011
9)佐々木春明,島田 誠,吉田英機:EDを診断する専門的な検査―夜間陰茎勃起の計測,血管系検査.ED Practice 3:7-11,2005
10)川西泰夫,木村和哲,李 慶寿,他:陰茎動脈病変の評価―DSAとCT angiography,超音波ドプラーの比較.日泌尿会誌 92:674-681,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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