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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科66巻7号

2012年06月発行

珍しい外陰部疾患・11

フィラリア症,陰茎マダニ刺咬傷,喰腎血蝨

著者: 三木誠1

所属機関: 1東京医科大学

ページ範囲:P.448 - P.449

文献概要

フィラリア症(filariasis)

 バンクロフト糸状虫による感染症で,中間宿主は蚊である。感染後平均約9か月でリンパ管炎,リンパ節炎が起き,数週,数か月ごとに熱発作が繰り返される。この発作は成虫やミクロフィラリアの代謝産物や,蚊になれずに死滅したミクロフィラリアの死体が免疫応答を引き起こすためと推定されている。わが国では九州や沖縄にみられたが,現在ではほぼ撲滅されている。ただしフィラリア症による乳び尿は稀に存在する。フィラリア成虫がリンパ管に入り,後腹膜リンパ節ではリンパ管の閉塞と炎症により,腎盂との交通ができ内リンパ瘻となり,リンパ液が尿中に漏出するので乳び尿を生じる。リンパ管が破壊されると,末しょう組織の組織液がリンパ管を経て血管系に回収される循環が阻害されるようになって,陰囊水腫や下肢の浮腫,陰囊陰茎のリンパ浮腫も著明となり,かつ皮下組織が増殖していわゆる象皮病となる。そのため外見が損なわれるだけでなく,普通の生活もできない人が,いまだに全世界では4,000万人以上もいるという。

 そこである種の寄生性細菌を蚊に感染させ,その寿命を半減させるだけでなく,蚊の免疫系がフィラリア幼虫を攻撃するように仕向け,フィラリア幼虫の伝染を直接阻止し,フィラリア症の拡大を防ぐことが可能かもしれない(Kambris Z, et al:Science 326:134-136,2009)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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