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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科67巻3号

2013年03月発行

雑誌目次

特集 前立腺全摘除術後の合併症―予防と対処

企画にあたって

著者: 加藤晴朗

ページ範囲:P.195 - P.195

 一昨年,ベルリンのSIUに参加した際に驚いたことは,前立腺全摘後の合併症のセッションが多く取り上げられていたことである。確かに,人工括約筋やmale slingのキットがすでに市販されているため,メーカー主導のセッションもあったが,それ以外にも,urorectal fistulaや膀胱尿道吻合部の高度の狭窄や閉塞(いわゆるdevastated outlet)の再建について,それらの再建を専門に行っている外科医たちから,それぞれの再建法や成績が討論されていた。頻度的には微々たるものであろうが,本邦でも,現在,ダヴィンチが急速に導入され,前立腺全摘術の件数も急増することが予想される。もちろん,導入時はどこの施設も慎重に行うので合併症は少ないと思われるし,合併症のない手術を目指すことは,われわれの任務でもある。しかし,「合併症のない手術はない」のも事実である。手術件数が多くなれば,当然頻度は少なくなっても数は増えるであろう。それらの対処法を学ぶことは合併症の予防にも通じる。

 以前,前立腺全摘後に鼠径ヘルニアの発症が多いと気づいたときには原因がはっきりしなかったが,予防法が考案されるようになり,逆に原因が推測できるようになってきた。また難治性のリンパ漏や囊腫は,特に感染を伴うと厄介で術後管理を悩ましいものとする。拡大郭清も議論されている中,その予防や対処法は必須である。

前立腺全摘除術後の尿路直腸瘻

著者: 小池宏 ,   鳥羽智貴

ページ範囲:P.197 - P.205

要旨 尿路と直腸との間に生じる尿路直腸瘻(urorectal fistulaもしくはrectourinary fistula)は,厳密には尿道直腸瘻(urethrorectal fistulaもしくはrectourethral fistula)と膀胱直腸瘻(vesicorectal fistulaもしくはrectovesical fistula)とに分けられる。前立腺全摘除術後に直腸と尿路の間に生じる瘻孔の多くは膀胱尿道吻合部の近くから膜様部尿道に生じるが,一部は膀胱縫縮部から生じるので,ここでは尿路直腸瘻(以下,URFと略す)という名称を用いる。URFに対する修復術にはさまざまな到達方法があり,それぞれの方法により特徴が異なるため,個々の症例の状況に応じて到達方法を考える必要がある。前立腺全摘除術後に生じるURFは難治性であり,時に治療に難渋する症例も存在するが,経会陰的到達法で瘻孔切除を行い,血流の良好ななんらかの有茎弁を間置・充塡することで,良好な治療成績が期待できる。

前立腺全摘除術後の吻合部狭窄および瘢痕化(いわゆるdevastated bladder outlet)

著者: 加藤晴朗 ,   西澤理

ページ範囲:P.209 - P.214

要旨 前立腺全摘除術後の合併症の中でも,いわゆるdevastated bladder outlet(膀胱尿道吻合部の高度な瘢痕狭窄)は極めて厄介な合併症であり,患者のQOLを著しく低下させる。軽度な吻合部狭窄とは異なり,経尿道的治療に抵抗性で,高度な瘢痕化のため,早期に閉塞してしまう。このため頻回のブジーによる尿道拡張術を要するか,内視鏡的に瘢痕組織の切除も繰り返し必要となる。また開放手術で根本的に再吻合を試みれば,手術自体がチャレンジングであるが,高頻度で尿失禁となる。またメジャーな尿路再建術も考えられるが,高齢者や合併症のある患者では,尿道留置カテーテルや膀胱瘻で管理されることになるのではないか。本稿では,原因や予防法,対処法,治療法について検討する。

尿失禁:軽症~中等度―男性スリング手術

著者: 増田均

ページ範囲:P.217 - P.222

要旨 欧米では,前立腺全摘除後の腹圧性尿失禁に対する外科治療として,人工尿道括約筋と尿道スリング手術が普及している。本邦でも,前者が保険収載され,重症尿失禁患者に対する治療は大きく前進した。一方,後者の軽~中等症尿失禁患者に対する治療成績は,前者に遜色なく,低侵襲かつ自然排尿を担保するため,患者数の面から考えても,早急に取り入れ,普及させるべきと思われる。尿道スリング手術には,主に,恥骨固定型と経閉鎖孔型の術式があるが,女性尿失禁治療に造詣の深い医師には,導入は必ずしも困難ではないと推測される。欧米のキットの導入,本邦における独自の工夫,両者が相まって,体系化されていくことが望まれる。

尿失禁:重症―人工括約筋―人工尿道括約筋の適応と成績

著者: 中川晴夫 ,   海法康裕 ,   荒井陽一

ページ範囲:P.225 - P.229

要旨 人工尿道括約筋埋込手術は,2012年4月から保険適応となった。人工尿道括約筋埋込手術は尿道括約筋機能が失われた症例に対して有効であり,前立腺全摘術後の腹圧性尿失禁症例に対する対処として,尿失禁が重症な症例においては人工尿道括約筋埋込手術を考慮することが必要である。また,人工尿道括約筋が使用されている症例では,尿道カテーテルを留置する際に人工尿道括約筋を開放状態に保つことが必要となる。今後症例が増加することが予想されるため,泌尿器科医として十分な知識を持つ必要がある。

前立腺全摘除術後の鼠径ヘルニア:危険因子と予防

著者: 藤井靖久

ページ範囲:P.233 - P.239

要旨 前立腺全摘除術の晩期合併症として,高頻度に鼠径ヘルニア(ほとんど間接ヘルニア)を発症することが知られている。病因として,潜在的に開存していた腹膜鞘状突起が,手術に伴う腹壁の損傷により顕在化してヘルニアを発症するという仮説が有力である。危険因子として,高い年齢,痩せた症例,サブクリニカルな鼠径ヘルニアの存在,鼠径ヘルニア手術の既往,吻合部狭窄が,また術式として低侵襲手術よりも開腹手術で術後ヘルニアが多いということが報告されている。最近,術後ヘルニアを防止するさまざまな手技,工夫が考案されており,私たちは,腹膜鞘状突起を結紮,切断する手技を開発した。ほかに,精索を腹壁と腹膜から剝離する方法,内鼠径輪を縫縮する方法などが報告されている。

リンパ漏・囊腫

著者: 安水洋太 ,   宮嶋哲 ,   大家基嗣

ページ範囲:P.241 - P.245

要旨 リンパ節郭清を施行した前立腺全摘除術後の約半数の症例にリンパ囊腫が発生する。症候性リンパ囊腫では感染・疼痛を認め,再入院・外科的処置を要することが多い。リンパ囊腫の予測因子として,リンパ節郭清数,低分子ヘパリンの使用,年齢が挙げられている。リンパ囊腫の予防に関しては,リンパ節郭清を施行する症例の選別と緻密なリンパ管の結紮・シーリングが重要である。症候性リンパ囊腫を認めた場合は,CTを用いて診断して超音波ガイド下ドレナージを施行する。今後,拡大リンパ節郭清の導入によって,症候性リンパ囊腫の発生頻度の上昇が懸念される。リンパ囊腫の予防および対策はますます重要な問題となるであろう。

知っていると役立つ泌尿器病理・12

症例:1歳・女児

著者: 鈴木貴弘 ,   鬼島宏

ページ範囲:P.187 - P.190

症例:1歳・女児

 手術約4か月前より,家族が腹部膨隆に気づき,小児科を受診した。腹部CTにて両側腎腫瘍を認め,両側腎腫瘍の生検が施行された。図1は,生検前の腹部CT,図2は右腎腫瘍の代表的な組織像,図3・図4は左腎腫瘍の代表的な組織像である。

 1.右腎腫瘍の病理診断は何か。

 2.左腎腫瘍の病理診断は何か。

書評

「CT・MRI実践の達人」―聖路加国際病院放射線科レジデント 編 フリーアクセス

著者: 似鳥俊明

ページ範囲:P.206 - P.206

 現代医療におけるCT/MRIの重要性は時を経るにつれ増しているようである。規模の大小,地域にかかわらず,日本中の病院のCT/MRI検査室は隙なく詰まった予約をこなすのに忙しく,緊急検査の依頼電話が鳴り響いている。少し気を抜くとCT/MRI検査は心のこもらない流れ作業に堕ちる危険をはらんでいる。そのような現実の中で,本書は「医療の中でますます重要になっている画像検査は,その特性を熟知し,患者の状態から必然性を熟慮した実施がなされるべきである」という理想と熱意が伝わる書である。聖路加国際病院放射線科のレジデントが常にポケットに入れているマニュアルの発展型とも言えようが,全国のCT/MRI検査室に常備され活用されれば,現状の医療現場が少し余裕を取り戻すのではないかとの期待もできる。

 主訴,問診,理学的所見,血液検査などから想定された疾患を念頭に置いて,いかに画像検査の組み立てを行うのが望ましいかが,よくまとめられて記載されている。簡潔な記載の中に連日実際に多彩な症例をこなしている自信が垣間見られる。特にCT/MRIの適応に関する文章は明快である。また,MRI検査の推薦シーケンス,断層面の設定が具体的に示されており,さらにその撮像所要時間が逐一記載され強調されているが,現場では大いに参考となろう。すでにプロトコールの確立している施設でも,見直しの材料となるはずである。医療人こそ常に自己に対して批判的でありたい。

「腹腔鏡下大腸癌手術―発生からみた筋膜解剖に基づく手術手技」―加納宣康 監修/三毛牧夫 著 フリーアクセス

著者: 山口茂樹

ページ範囲:P.223 - P.223

 本書『腹腔鏡下大腸癌手術―発生からみた筋膜解剖に基づく手術手技』は,著者の三毛牧夫先生の大腸癌手術,特に臨床解剖に対する熱い情熱のこもった1冊である。以前どこかで感じたことのある,本書の読後のこの感覚は,しばしば本文で登場する故・高橋孝先生が長く在籍された癌研病院で味わったものと似ている。私は出身教室での研修を修了してすぐに癌研病院で研修する機会を得たが,どのスタッフも手術に関してこだわりがあり妥協がない。時には激しく口論し,意見を戦わせていた。本書を読んでそのときのなつかしい感覚と,長年こだわりの手術を積み重ねてこられた三毛先生の情熱が重なって感じられた。

 内容をみると,特に左側結腸と直腸の筋膜,剝離層について多くのページが割かれている。特にToldtの癒合筋膜の癒着不全状態であるS状結腸窩について,私自身も認識はあるものの,これだけ詳細に記載されたものは今までみたことがない。また一般に腹膜を裏打ちする筋膜とされる腹膜下筋膜subperitoneal fasciaと,直腸間膜を包み込む直腸固有筋膜は現在の大腸癌手術の剝離層の指標として最も重要な筋膜であるが,これらについては発生学的な見地と実際の手術の経験から独自の理論が展開されている。最近の組織学的検討や,ビデオによる剝離層の議論により標準的な術式はかなり洗練されてきている感があるが,術中見えていない部分の解剖,特に筋膜の連続性,非連続性についてはまだまだ検討の余地がある。

「大腸内視鏡挿入法 第2版―軸保持短縮法のすべて」―工藤進英 著 フリーアクセス

著者: 吉田茂昭

ページ範囲:P.230 - P.230

 本書の初版は1997年に上梓され,第一級の教科書として君臨し続けている。「なのに,なぜ,今さら挿入法なのだろう?」というのが,本書を手に取った最初の思いであった。しかし,序にもあるように,大腸内視鏡はこの15年間にpit patternの診断からNBIや超拡大診断,治療領域ではpolypectomyからpiecemeal polypectomy,ESDなどなど,極めて多様な対応が求められてきており,挿入に手間取っているようでは大腸内視鏡医として与えられた使命をはたせないのである。著者の挿入例数はこの15年間に20万件に達したそうであるが,そのキャリアの大部分は自身が開発した拡大内視鏡によっている。本機器は先端硬性部が長く太径でもあり,一般に挿入が難しい。このスコープを自在に操っている中に,挿入技術に一層の磨きがかかり,ついにはartの域に達したのであろう。本書はこうして完成した軸保持短縮法をなんとか多くの内視鏡医に伝えたいという熱い思いにあふれている。

 これまでの挿入法はというと,one-man methodの創始者である新谷弘実先生のright-turn shortening(強いアングル操作で先端を粘膜ひだに引っかけ,右回旋しながら引き戻すことで腸管の直線化をはかる)がよく知られている。これに対し,軸保持短縮法ではup-downのアングル操作を控え,可及的に先端硬性部をまっすぐに保ち,管腔の走行を的確に想定しながら,トルクを加えつつ順次スコープを挿入していくことを基本としている。筆者もUPDを用いた著者のライブデモンストレーションを見せていただいたことがあるが,確かに先端部を強く屈曲するようなシーンは一度もなかった。

「研修医のためのリスクマネジメントの鉄則―日常臨床でトラブルをどう防ぐのか?」―田中まゆみ 著 フリーアクセス

著者: 邉見公雄

ページ範囲:P.248 - P.248

 このたび医学書院より『研修医のためのリスクマネジメントの鉄則―日常臨床でトラブルをどう防ぐのか?』が出版された。著者の田中まゆみ氏とは数回しかお会いしていない。いずれも研修医を対象とした研修会においてであったと記憶している。

 その研修会では,ピカピカの研修医に対し医療界のガイダンスやオリエンテーションをはじめ,医師としての基本的な姿勢,「今日からは学生ではなくプロフェッショナルな“ドクター”ですよ」と“刷り込み”的な講義が2日間続いた。この第1日目の講師に田中氏と私が前になったり後になったりして講演したのである。この研修会では,残念ながら先日亡くなられたCOMLの辻本好子さんも患者の立場から講演され,大変好評であった。田中氏については「どこかの看護系大学の教授かな」と思っていたが経歴をみてびっくり。大学の後輩ではないか。われわれ紛争世代が今もって悔やみ,コンプレックスを抱いている海外留学の経験もあるではないか。

「がんサバイバー―医学・心理・社会的アプローチでがん治療を結いなおす」―Kenneth D. Miller 原書編集/勝俣範之 監訳/金 容壱,大山万容 訳 フリーアクセス

著者: 内富庸介

ページ範囲:P.259 - P.260

 一昔前,がんサバイバーというと「治療後5年を経過した稀な幸運な人」を意味し,最初の5年間は医師も患者ももっぱら疾患コントロールに傾注し,心の問題は後回しという風潮ではなかったかと思う。現在では,生存率の大幅な改善とともに,米国のサバイバーは1,200万人に達した。「がんと診断されたその瞬間に人はがんサバイバーとなり,一生サバイバーであり続ける(全米がんサバイバーシップ連合,1984)」という定義が米国国立がん研究所(NCI)に採用されて以降,プロセスを意味するサバイバーシップの概念とともに広がり,日本ではがん対策基本法(2007)以降浸透してきたといえる。

 本書は,あらゆる医療者のための,がん診断時からのサバイバーシップ指南書であり,よくある疑問や懸念に正面から向き合っている。特筆すべき点は心の問題や回復過程をロードマップとして目に浮かぶように本書の前半分を割いて詳述していることで,疫学的問題,医学的問題の後半へと続く。編集者のKenneth D. Miller所長は,現在,Dana-Farberがん研究所Lance Armstrongサバイバーシッププログラムの所長を務めているが,腫瘍内科医であり,がんサバイバーの夫でもある。彼は,サバイバーシップ研究のエビデンスが蓄積したところで,編集して本書を誕生させた。

セミナー テストステロンを再考する・6

メタボリックシンドロームとテストステロン

著者: 羽田裕亮 ,   山内敏正 ,   門脇孝

ページ範囲:P.249 - P.258

要約 肥満・過食・運動不足による内臓脂肪蓄積は,アディポネクチンを低下させメタボリックシンドロームや動脈硬化性疾患の原因となるのみならず,テストステロンを低下させ,男性の性機能も悪化させる。また,テストステロンの低下はメタボリックシンドロームや2型糖尿病のリスクとなる。代謝異常者に対するテストステロン補充は,メタボリックシンドロームのリスクを減らしてインスリン抵抗性の改善も得られ,治療法となり得る可能性もある。

症例

エンドトキシン吸着治療後待機的に腎摘除術を施行した気腫性腎盂腎炎

著者: 杉山和隆 ,   上田政克 ,   渡部淳 ,   東新 ,   西尾恭規

ページ範囲:P.261 - P.263

61歳,女性。既往歴,糖尿病。全身倦怠感,悪心嘔吐を主訴に近医受診。左気腫性腎盂腎炎によるショック状態と診断され,当院へ救急搬送して入院となる。KUB,腹部CTで左腎全体がガスで置換されており,櫛状の構造を確認できた。エンドトキシン吸着,抗生剤投与,開放ドレナージで炎症反応は改善した。第39病日に左腎摘出術施行。術後5日目にドレーン抜去,術後10日目に退院となった。

PET検査により偶然に発見された精巣悪性リンパ腫

著者: 水沢弘哉 ,   三村裕次

ページ範囲:P.265 - P.268

症例は76歳,男性。顔面神経麻痺を主訴に当院神経内科に紹介された。FDG-PET検査を施行したところ,陰囊内に集積がみられ紹介を受けた。両側精巣には,触診上・超音波検査上ともに異常所見はなかった。自覚症状はなく,精巣腫瘍に関連した腫瘍マーカーも基準値以内であったため経過観察とした。約1か月後,左精巣は右に比べてやや硬く腫大していた。精巣腫瘍の診断で高位精巣摘除術を施行した。病理診断はdiffuse large B-cell lymphomaであった。

肉腫様変性を認めた腎盂尿路上皮癌

著者: 近沢逸平 ,   宮澤克人 ,   田中達朗 ,   鈴木孝治 ,   木下英理子 ,   野島孝之

ページ範囲:P.269 - P.272

64歳,男性。腹痛にて当院を受診。腹部CT,腹部MRIで左腎上極に直径10cm大の充実性腫瘍と腹部大動脈周囲リンパ節腫大を認めた。腎細胞癌の術前診断のもと,経腹膜的腎摘除術を施行した。病理学的に尿路上皮癌および肉腫様の紡錘状異型細胞の増殖を認め,肉腫様変性した腎盂尿路上皮癌,臨床病期pT4N1M0と診断した。手術から4か月後,再発により死亡している。

交見室

原著「精索静脈瘤に対する臍部単孔式腹腔鏡下精索静脈高位結紮術」(臨泌66:675-678,2012)に関連して

著者: 臼田和正

ページ範囲:P.273 - P.273

 著者が記述しているように,精索静脈瘤に対する腹腔鏡下手術は,開腹手術に代わる標準術式として定着しつつあると思われる。低侵襲にて小児領域でも積極的に行われており1),開腹手術との比較でも同等の効果が報告されている2)

 しかしながら,一方で術後の合併として,12.5~31.1%もの陰囊水腫の発症が報告されている3,4)

病院めぐり

北海道社会保険病院泌尿器科

著者: 広瀬崇興

ページ範囲:P.274 - P.274

 社会保険病院グループの一員である当院は,1953年(昭和28年)に224床の結核病院として設立し,1959年には一般病床が追加され,1973年には350床の総合病院として承認を受けている。そして2004年には新臨床研修病院管理型の指定と日本医療機能評価機構の認定を受け,2010年からは一般病床312床,結核病床46床の急性期型病院になっている。

 しかし,全国の社会保険病院は2014年度には新しい運営組織の下,厚生年金病院などと合併し,病院名も変更になる予定である。

名古屋市立大学大学院医学研究科腎・泌尿器科学分野

著者: 梅本幸裕

ページ範囲:P.275 - P.275

 当教室は,昭和28年に水腎症の分類で有名な初代教授の岡 直友先生により創設され,昭和51年に小児泌尿器科を専門とされた二代目の太田黒和生教授,そして現在の郡 健二郎教授に引き継がれています。早いもので現体制となってから19年が経ちました。

 教室のモットーの一つは和です。その思いをこめて,同門会誌の表題には,「金石之友」を用いています(図1)。もう一つ大切にしていることは,不断の努力により継続的に発展することで,教室内には「凌雲之志」の揮毫を掲げています(図2)。

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欧文目次 フリーアクセス

ページ範囲:P.193 - P.193

次号予告 フリーアクセス

ページ範囲:P.240 - P.240

お知らせ 千里ライフサイエンス技術講習会「生体2光子励起イメージング」 フリーアクセス

ページ範囲:P.264 - P.264

日 時:2013年8月1日(木)10:00~17:00 および8月2日(金)9:00~12:30

場 所:大阪大学免疫学フロンティア研究センター(セミナー室および研究室)

投稿規定 フリーアクセス

ページ範囲:P.278 - P.278

著作権譲渡同意書 フリーアクセス

ページ範囲:P.279 - P.279

編集後記 フリーアクセス

著者: 郡健二郎

ページ範囲:P.280 - P.280

 「人を育て,組織を伸ばす」。こんな壮大なテーマで話をさせていただく機会がありました。私には,とうてい答えを導き出すことはできませんが,いかにして人を育てるか,考える機会をここでも持ちたいと思います。

 私たち医師にとって,診療も研究も楽しいことですが,「人を育てる」ことは数段やりがいがあります。何といっても,人を育てる喜びは私たち1人ひとりの小さな能力がねずみ算式に大きくなることです。そこには夢がひらけ,世をつくる力につながります。

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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