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書評
「腹腔鏡下大腸癌手術―発生からみた筋膜解剖に基づく手術手技」―加納宣康 監修/三毛牧夫 著 フリーアクセス
著者: 山口茂樹1
所属機関: 1埼玉医科大学国際医療センター・下部消化管外科
ページ範囲:P.223 - P.223
文献概要
内容をみると,特に左側結腸と直腸の筋膜,剝離層について多くのページが割かれている。特にToldtの癒合筋膜の癒着不全状態であるS状結腸窩について,私自身も認識はあるものの,これだけ詳細に記載されたものは今までみたことがない。また一般に腹膜を裏打ちする筋膜とされる腹膜下筋膜subperitoneal fasciaと,直腸間膜を包み込む直腸固有筋膜は現在の大腸癌手術の剝離層の指標として最も重要な筋膜であるが,これらについては発生学的な見地と実際の手術の経験から独自の理論が展開されている。最近の組織学的検討や,ビデオによる剝離層の議論により標準的な術式はかなり洗練されてきている感があるが,術中見えていない部分の解剖,特に筋膜の連続性,非連続性についてはまだまだ検討の余地がある。
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