文献詳細
特集 泌尿器科診療ベストNAVI
Ⅱ 疾患・病態の診療 2 尿路・性器の損傷 膀胱・尿道損傷
文献概要
1 概念・病因
尿路系の損傷は婦人科手術だけに限らないが,頻度的に高いことと,緊急的な処置または修復を要することもあるので,婦人科領域における医原性の膀胱腟瘻および尿管腟瘻・尿管損傷を併せて取り上げることにする。発展途上国に多い,出産に伴って発症する大きな膀胱腟瘻は本邦では稀である。
術後の膀胱腟瘻・尿管腟瘻は,おそらく術中に膀胱や尿管の損傷があり,修復が不十分であったか,気がつかなかった可能性がある。子宮の大きな腫瘍や,悪性の浸潤性腫瘍で膀胱後壁との剝離の際に膀胱損傷は起こりうる。やはり,大きな子宮の腫瘍の摘出時や,経腟的子宮摘出術で止血のための結紮糸で尿管を巻き込むことがある。または骨盤神経温存の広汎子宮全摘では,尿管を膀胱壁ぎりぎりまで遊離するので,尿管が虚血に陥る。場合によっては誤って切断する可能性がある。
尿路系の損傷は婦人科手術だけに限らないが,頻度的に高いことと,緊急的な処置または修復を要することもあるので,婦人科領域における医原性の膀胱腟瘻および尿管腟瘻・尿管損傷を併せて取り上げることにする。発展途上国に多い,出産に伴って発症する大きな膀胱腟瘻は本邦では稀である。
術後の膀胱腟瘻・尿管腟瘻は,おそらく術中に膀胱や尿管の損傷があり,修復が不十分であったか,気がつかなかった可能性がある。子宮の大きな腫瘍や,悪性の浸潤性腫瘍で膀胱後壁との剝離の際に膀胱損傷は起こりうる。やはり,大きな子宮の腫瘍の摘出時や,経腟的子宮摘出術で止血のための結紮糸で尿管を巻き込むことがある。または骨盤神経温存の広汎子宮全摘では,尿管を膀胱壁ぎりぎりまで遊離するので,尿管が虚血に陥る。場合によっては誤って切断する可能性がある。
参考文献
1)加藤晴朗:イラストレイテッド泌尿器科手術.医学書院,東京,pp258-268,2007
2)酒井宏昌,加藤晴朗,小林晋也,他:多発子宮筋腫に対する子宮全摘後に左尿管損傷と膀胱腟瘻を併発した1例.泌尿紀要48:745-747,2002
掲載誌情報