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特集 泌尿器科診療ベストNAVI Ⅱ 疾患・病態の診療 5 腎疾患 その他の腎疾患
072 腎下垂(遊走腎)
著者: 成田伸太郎1
所属機関: 1秋田大学医学部泌尿器科
ページ範囲:P.213 - P.214
文献購入ページに移動腎下垂(遊走腎,nephroptosis,falling kidney,floating kidney,wandering kidney)は立位により5cmもしくは2椎体腎が下垂する病態である。異所性腎(ectopic kidney)との違いは,体位によって腎が正常の位置に戻る点である。若い痩せの女性に多く発症するといわれ,男女比は3:100程度と報告されている1)。多くは症状もなく精査されないため,発症頻度は不明である。発症部位に関しては70%が左腎,10%が右腎,両側20%と報告されている。無症状の症例では治療の必要性はないが,疼痛,嘔気,嘔吐,肉眼的血尿,繰り返す尿路感染症,高血圧など有症状症例の中に治療が必要となる症例が存在する。症状を起こす原因としては,①間欠的尿路閉塞,②腎動脈閉塞による虚血,③腎門部体性神経牽引や刺激,④腎石灰化や腎盂腎炎などの二次的腎病理変化が考えられている。
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