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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科67巻4号

2013年04月発行

文献概要

特集 泌尿器科診療ベストNAVI Ⅱ 疾患・病態の診療 9 その他の疾患 膀胱疾患

108 膀胱憩室

著者: 野崎哲夫1 布施秀樹1

所属機関: 1富山大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.303 - P.304

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1 概念・病因

 膀胱憩室とは,膀胱内腔粘膜が膀胱壁の筋層を脱出し,膀胱壁外へ部分的に拡張した状態をいう。組織学的に膀胱憩室壁は,粘膜・粘膜下層結合組織または固有層・薄い平滑筋の成分とで構成されている1)。この平滑筋成分は一般的に収縮機能を欠いており,排尿効率の低下から残尿量増大の原因となる。

 膀胱憩室の成因は先天性と後天性とに分けられる。先天性膀胱憩室はMenkes症候群やEhlers-Danlos症候群,prune belly症候群など,さまざまな先天性疾患に併発することがある。男児に多く,尿管口あるいは膀胱頸部近傍に存在することが一般的で,胎児期の尿管芽の膀胱への接合異常が関連しているものと考えられている2)

参考文献

1)GilmVernet JM:Bladder diverticulectomy. In:Glenn's Urologic Surgery, 5th ed. Lippincott-Raven, Philadelphia, pp205-209, 1998
2)折笠精一:尿路性器の先天性異常疾患―腎および腎盂・尿管・膀胱.In:ベッドサイド泌尿器科学―診断・治療 編(吉田 修 編),第3版,南江堂,東京,pp189-230,2000
3)Williams DL and Eckstein HB:Bladder disorder. In:Pediatric Urology, Butterworths, London, pp213-227, 1968
4)Golijanin D, Yossepowitch O, Beck SD, et al:Carcinoma in a bladder diverticulum:presentation and treatment outcome. J Urol 170:1761-1764, 2003
5)Clayman RV, Hahin S, Reddy P, et al:Transurethral treatment of bladder diverticula. Urology 23:573-577, 1984
6)Roslan M, Markuszewski MM, Kłącz J, et al:Laparoendoscopic single-port transvesical diverticulectomy:preliminary clinical experience. J Endourol 26:975-979, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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