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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科67巻9号

2013年08月発行

文献概要

書評

「誰も教えてくれなかった「風邪」の診かた―重篤な疾患を見極める!」―岸田直樹 著 フリーアクセス

著者: 青木眞

所属機関:

ページ範囲:P.685 - P.685

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 本書は「風邪」診療と「不明熱」診療の距離が極めて近接していることをあらためて認識させる良書である。「風邪は万病のもと」というが,恐らく正確には万病は病初期,みな風邪のようにみえるということなのだと思う。言い換えれば問題の臓器も病因も不明なのである。“Harrison”の内科書で長らく感染症を担当したPetersdorfは「多くの病気が不明熱と名づけられている。それは医師が重要な所見を見逃し,無視するためである」と喝破した。これは評者が長らく指摘してきた「風邪」という診断名の乱用が問題臓器と病因の検討不足の表現である事実とも関連している。さらに外科学領域の古典ともいえる“Cope's Early Diagnosis of Acute Abdomen”が「胃腸炎という診断は,まだ診断できていない病態に名前を与える行為であることが多い」とコメントしていることも,胃腸炎と風邪の違いはあれど同じ性質の病根を扱っている。

参考文献

1)野口善令(監修):この1冊で極める不明熱の診断学.文光堂,東京,2012
2)田坂佳千:“かぜ”症候群の病型と鑑別疾患.今月の治療13:1217-1221,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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