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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科68巻3号

2014年03月発行

特集 神経因性膀胱

特別寄稿:神経因性膀胱という名の功罪

著者: 井川靖彦1 百瀬均2

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科・コンチネンス医学講座 2星ヶ丘厚生年金病院泌尿器科

ページ範囲:P.269 - P.272

文献概要

要旨 日常診療上,診断がつけられない下部尿路機能障害(LUTD)に対して,安易に,ごみ箱的病名としてとりあえず「神経因性膀胱」と診断する悪しき習慣がいまだにあるのではなかろうか? 神経因性膀胱とは,本来,「下部尿路機能を制御している中枢から末しょうに至る神経経路のいずれかに障害が生じたことにより,LUTDをきたしている病態」を意味する。したがって,なんらかのLUTDと神経疾患が同時に存在し,両者の間に,因果関係がある(神経疾患を原因として,その結果,LUTDが生じている)と診断できる場合に限って用いるべき病名(病態名)である。しかし,臨床的にこの因果関係を証明することは,外傷性脊髄損傷などの例外的な場合を除いて困難である。このように神経因性膀胱と診断する際には内部矛盾(欺瞞)が存在すること,それでもなお神経因性膀胱と診断する意義はなにか,さらに,どのような場合に,どのように,神経因性膀胱を診断すべきかについて私見を述べた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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