文献詳細
書評
癌診療指針のための病理診断プラクティス─腎・尿路/男性生殖器腫瘍─青笹克之 総編集/都築豊徳 専門編集 フリーアクセス
著者: 筧善行1
所属機関: 1香川大学医学部泌尿器科
ページ範囲:P.1050 - P.1050
文献概要
本書は,泌尿器腫瘍に精通された我が国のトップ病理医の先生方と泌尿器科医が協働して編纂された泌尿器腫瘍病理の実践的指南書である.精微な病理組織写真はもとより沢山の画像写真や簡明なフローチャートなどが豊富に掲載されていることにも目を奪われるが,病理の先生方のpoint by pointの明解で統一された記述にも感銘を受ける.また,泌尿器腫瘍領域で臨床上課題となっているcontemporaryな事項に病理医としてどのような支援ができるか,といった極めて実践的な記載が随所にみられる(例えば,腎臓癌における腎摘除標本では,腫瘍から離れた非癌部のサンプリングが将来のCKDの発生を予測するため有用であることなど).本書は二つの読者対象を特に意識している様に見える.一つは,これから泌尿器腫瘍をサブスペシャルティの一つとして考える若い病理診断医であり,もう一つは泌尿器腫瘍の奥深さに気づき始めた若い泌尿器科医である.特に後者に対しては,病理診断医が我々泌尿器科医に何を求めておられるかが丁寧に記載されている.本書を通して,病理診断医との双方向性の質の高い意見交換ができる泌尿器科医が続々誕生することを願っている.
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