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増刊号特集 泌尿器科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド 1 尿路・性器の感染症 尿路感染症
尿路真菌症
著者: 濵砂良一1
所属機関: 1産業医科大学医学部泌尿器科学講座
ページ範囲:P.19 - P.21
文献購入ページに移動真菌(ほとんどがカンジダ属による)は尿路感染症や性器感染症を引き起こす.多くの症例は複雑性であり,何らかの原因,誘因によって引き起こされる.尿路性器の症状を有し,膿尿および1×105cfu/mL以上の真菌が検出された場合(無菌的カテーテル採尿では103cfu/mL以上)には症候性真菌感染症とする.真菌による膀胱炎は通常,尿路のカテーテル留置時や抗菌薬治療後に起こる.時に上行性に腎盂腎炎を来すが,尿管や腎盂に真菌球(fungus ball)を形成し,上部尿路の閉塞を来すことがある.血行性に腎に感染すると(播種性カンジダ症),抗菌薬抵抗性の発熱,腎機能悪化などを来す.無症候の患者から真菌が分離された場合,原因菌なのか,定着菌またはコンタミネーションかの鑑別を要し,再検査が必要である.ハイリスクグループ患者(好中球減少患者や低体重出生児)や泌尿器科処置の前に真菌が検出される場合は,無症候でも治療の対象となる.
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