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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科70巻4号

2016年04月発行

増刊号特集 泌尿器科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド

2 下部尿路機能障害

前立腺肥大症

著者: 竹澤健太郎1 木内寛1 野々村祝夫1

所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科泌尿器科

ページ範囲:P.56 - P.59

文献概要

疾患の概要

 前立腺肥大症の疾患概念は大きく変化してきた.前立腺肥大症は,古くは前立腺の腫大に伴う下部尿路閉塞により下部尿路症状が引き起こされる疾患と考えられていた.しかしその後,前立腺の腫大と下部尿路の閉塞が必ずしも相関しないことや,前立腺の腫大や下部尿路閉塞がなくても下部尿路症状を呈する症例が存在することなどが明らかとなり,前立腺肥大症の用語・定義に混乱が生じた.一方,臨床現場では下部尿路症状を呈する中高齢の男性の多くが,前立腺の腫大や下部尿路閉塞の有無にかかわらず,前立腺肥大症と診断され続けてきた.

 このような現状をふまえ,現在では前立腺肥大症は「前立腺の良性過形成による下部尿路機能障害を呈する疾患」で「通常は前立腺腫大と下部尿路閉塞を示唆する下部尿路症状を伴う」と定義されている(前立腺肥大症診療ガイドライン).本定義に従えば,下部尿路症状がある中高齢男性は,神経因性膀胱や尿路感染症,多尿,前立腺癌や膀胱癌が除外されれば,前立腺の腫大や下部尿路閉塞が明らかでなくても「前立腺肥大症」と診断される.「前立腺肥大症」とは,中高齢男性における「下部尿路閉塞を示唆する下部尿路症状」を指す症状症候群であるといえる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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