文献詳細
増刊号特集 泌尿器科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
6 内分泌疾患
原発性アルドステロン症
著者: 西本紘嗣郎13 西川哲男2
所属機関: 1立川病院泌尿器科 2横浜労災病院内分泌・糖尿病センター 3埼玉医科大学国際医療センター泌尿器腫瘍科
ページ範囲:P.116 - P.119
文献概要
近年,原発性アルドステロン症(primary aldosteronism : PA)は多くの高血圧患者(約10%)に検出されるようになった.これは,血漿レニン活性(plasma renin activity : PRA)と血漿アルドステロン濃度(plasma aldosterone concentration : PAC)の測定によるPAのスクリーニング検査が,高血圧患者に広く行われるようになったことが1つの要因である.PAにおける過剰なアルドステロンは,高血圧や低カリウム血症を発症させるだけでなく,心血管系に直接的に働いて,高率に脳卒中や心疾患を合併させる.したがって,PAの治療は降圧だけでは不十分であり,過剰なアルドステロンの制御が重要である.PAは主に,アルドステロン産生腺腫(aldosterone-producing adenoma : APA)と特発性アルドステロン症(idiopathic hyperaldosteronism : IHA)に分類される.APAは通常片側性(左右の副腎のどちらかに発生する)であるので,副腎摘除術により治癒する一方,IHAは両側性であるので,副腎摘除術の適応とはならず,生涯にわたって鉱質コルチコイド受容体阻害薬による治療を行う.
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