文献詳細
増刊号特集 泌尿器科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
8 腎機能障害
後腹膜線維症(IgG4関連疾患を含む)
著者: 北川育秀1 並木幹夫1 川野充弘2
所属機関: 1金沢大学大学院医学系研究科集約的治療分野泌尿器科学 2金沢大学大学院医学系研究科リウマチ膠原病内科
ページ範囲:P.161 - P.162
文献概要
後腹膜線維症は両側の尿管狭窄と水腎症を特徴とする線維炎症性病変であり,広義には,感染症,薬剤(麦角アルカロイドなど),腫瘍(悪性リンパ腫,カルチノイド,消化器系あるいは婦人科系癌の腹膜播種など)を原因とする病態を含み,原因不明のものを特発性後腹膜線維症と総称していた.最近,IgG4関連疾患に関する概念が整理されてきて,現在では,特発性後腹膜線維症のなかにIgG4関連疾患とIgG4非関連群が存在することが明らかにされているが,IgG4関連疾患として腎盂尿管粘膜に生じる病変があること,IgG4非関連群でも関連疾患としての治療に反応する場合があることなどより,後腹膜線維症の概念がさらに変遷する可能性があり,今後の動向に注目する必要がある.
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