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増刊号特集 泌尿器科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド 9 腫瘍 抗がん剤の副作用対策
悪心・嘔吐
著者: 皆川倫範1 小川輝之1 石塚修1
所属機関: 1信州大学医学部泌尿器科学教室
ページ範囲:P.202 - P.204
文献購入ページに移動抗がん剤治療において,有害事象のコントロールはきわめて重要である.悪心・嘔吐は,そのものが致死的・致命的な状態になることはないが,治療中の患者のコンプライアンスを低下させるだけでなく,QOLを低下させる.悪心・嘔吐のメカニズムは,主に3つの経路を介して延髄嘔吐中枢が刺激されることにより誘発される.第一の経路として,消化管のEC細胞刺激によるセロトニンが放出される経路,第二の経路として,第四脳室周囲にあるCTZ受容体が直接・間接的に刺激される経路,そして第三の経路として,情動的な刺激が伝わる経路である.
また,抗がん剤によって起こる悪心・嘔吐は,急性嘔吐,遅発性嘔吐,予測性嘔吐に分類される.急性嘔吐は投与開始後1〜24時間以内に発生する悪心で,セロトニンの関与が示唆されている.遅延性嘔吐は,投与後24〜48時間ごろより始まり,2〜5日続く悪心・嘔吐であり,セロトニンの関与は薄いとされている.予測性嘔吐は,前回の抗がん剤治療時にコントロール不十分であった場合,次の投与前後に出現する悪心・嘔吐であり,不安などが関与している.
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