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増刊号特集 泌尿器科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド 9 腫瘍 緩和医療
がん患者の呼吸器症状
著者: 川島正裕1
所属機関: 1市立岸和田市民病院緩和ケア内科
ページ範囲:P.221 - P.225
文献購入ページに移動呼吸困難と咳嗽は,多くのがん患者に出現する頻度が高い呼吸器症状である.また,がん患者に与える苦痛も強く,QOLの低下をもたらす.
呼吸困難とは,呼吸時の不快な感覚という主観的な症状である.①症状の有無や重症度は,経皮的酸素飽和度や動脈血ガスなどの検査所見とは必ずしも一致しない,②不快感,苦痛,努力感など複数の感覚で表現される,③痛みと同様に,身体的,感情的・情緒的な側面をもつことが特徴である.一方,呼吸不全は,動脈血ガスが異常を示し,PaO2が60Torr以下が診断基準になる客観的病態である.多くの場合,呼吸不全が原因となり,呼吸困難が出現するが,両者が一致しないこともある.がん患者において呼吸困難の原因は多様で,①がんに関連した原因(胸水,心囊水,気道狭窄など),②がん治療に関連した原因(放射線肺臓炎,化学療法に伴う間質性肺炎,がん性リンパ管症など),③がんとは関連しない原因(肺炎,慢性閉塞性肺疾患 : COPD,心不全など)に分けられる.
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