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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科70巻4号

2016年04月発行

増刊号特集 泌尿器科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド

10 周術期 予定手術

感染症の予防

著者: 濵砂良一1

所属機関: 1産業医科大学医学部泌尿器科学講座

ページ範囲:P.236 - P.239

文献概要

治療方針 薬物療法の概要と狙い

 泌尿器科手術の特徴は,術野が尿によって汚染される,または尿路そのものが術野となることである.泌尿器科領域における清潔手術とは,尿路が開放されないものであり,尿路が開放される手術,または尿路内視鏡手術は準清潔手術となる.膀胱全摘時に消化管を利用し尿路変更するものは,消化管内容により術野が汚染される可能性があるため,汚染手術に分類される.これらの手術では,術後に発生するsurgical site infection(SSI)の頻度はそれぞれ1〜4%,4〜10%,10〜20%であることが推定され,SSIを予防するために予防的抗菌薬が投与され,それぞれの手術で予想される汚染菌に対応する抗菌薬が選択される.しかし,腎膿瘍,腎周囲膿瘍,フルニエ壊疽などに対する手術は,術後にきわめて高い確率でSSIが発症する.これらの疾患は術前よりすでに感染症が発症しているため,予防的抗菌薬の投与ではなく,術前,術中,術後まで原因菌に感受性のある抗菌薬が,治療薬として投与される.

 術前に尿路感染症(urinary tract infection : UTI)を発症または合併している手術では,術前にUTIを抗菌薬により積極的に治療すべきである.術中の感染尿の術野汚染は,術後SSIの最も大きなリスクファクターとなる.術前にUTIが完治している場合には,一般の手術と同様の対応でよいと思われる.しかし,UTIの多くは複雑性であり,手術時にも感染が持続するような場合には,感染手術として取り扱う.つまり,UTIの原因菌に感受性のある抗菌薬を術前,術中,術後まで治療薬として投与すべきであり,予防的抗菌薬とは別に考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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