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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科70巻4号

2016年04月発行

増刊号特集 泌尿器科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド

10 周術期 ハイリスク患者の管理

抗血栓薬服用中の患者

著者: 市場晋吾1

所属機関: 1日本医科大学付属病院外科系集中治療科

ページ範囲:P.256 - P.261

文献概要

疾患の概要

 高齢社会になり,経皮的冠動脈インターベンションの進歩や心房細動における心原性脳塞栓症の予防などにて,抗血小板薬や抗凝固薬による薬物治療を受ける患者が増えてきた.日本ではワルファリンを100万人,アスピリンを300万人が服用しているともいわれている.しかし,長期の臨床経過で,観血的処置が必要となることも多くなった.その際に,抗血小板薬,抗凝固薬の中止が問題となる.

 血栓形成では,血小板が凝集した塊を基にして,そこに血液凝固反応で生成されたフィブリンが網目状の塊を形成する.血栓症には2つのタイプがあり,血流の早い動脈での血栓形成には血小板が,血流の遅い静脈では凝固系の活性化が関与している.「ずり応力」が大きい動脈では,血小板の働きが最も重要であり,「ずり応力」が小さい静脈では,フィブリノーゲンをはじめとする凝固系の活性化が重要である.したがって,抗血栓療法には,抗凝固療法と抗血小板療法がある.狭心症,心筋梗塞,動脈硬化脳梗塞など,動脈で起こる血栓症では,主に抗血小板薬が使われ,人工弁置換術後,心房細動,深部静脈血栓症,肺梗塞,心原性脳梗塞など主に血流の乱れや鬱滞による血栓症では,抗凝固薬が主に使われる.ただし,血小板と凝固因子は,互いに影響しあって血栓をつくるので,抗血小板薬と抗凝固薬が同時に必要になることもある.周術期に抗血栓薬を中止する際には,それぞれの薬剤の特徴を理解したうえで中止することが重要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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