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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科71巻3号

2017年03月発行

文献概要

特集 備えて安心! 泌尿器外傷の管理マニュアル

企画にあたって フリーアクセス

著者: 中島洋介1

所属機関: 1済生会横浜市東部病院泌尿器科

ページ範囲:P.207 - P.207

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 泌尿器外傷,すなわち尿路性器外傷は,多くは致命的なものではなく,泌尿器科の日常診療において遭遇する頻度は決して多いものではない.しかし,初療を誤ると,後々患者のQOLを大きく損なうような臓器を含んでいる.陰茎,精巣外傷は,その後の性機能,妊孕性に関わりうるし,尿道外傷への対応は排尿機能に大きく関係してくる.腎外傷は,泌尿器外傷では最も頻度の高い外傷である.それ自体が救命のための緊急手術の対象となることは少ないが,画像診断ならびにIVR(interventional radiology)の進歩とともに非手術療法を選択する症例が多くなり,損傷腎機能の温存や尿漏などの合併症回避の観点から,救急のチーム医療のなかで泌尿器科医として適切な管理方法を知っておく必要がある.このようななか,腎外傷の治療方針の標準化を目的としたガイドラインが2016年4月に日本泌尿器科学会より発刊された.単独臓器の治療指針としては初めてのものである.

 救急医療の供給体制は,医療施設あるいは地域によって整備状況が異なる.大都市圏の中核病院であれば,救急科を中心とする診療体制が整っており,初療は救急医,外傷外科医が対応してくれるだろうが,救急専門医の少ない地方病院などでは,泌尿器科医が初療を担当せざるを得ない状況も発生する.そこで,一般泌尿器科医に必要な救急初療の実際を学んでいただく意義は大きく,今回,救急専門医に外傷初期診療をわかりやすくご教授いただいた.さらに,上述した腎外傷や骨盤外傷の治療においては,IVRとしての経カテーテル動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization : TAE)がきわめて重要な位置づけであり,IVR専門医にもご登場願って泌尿器外傷におけるIVRの現状をご解説いただいた.また,泌尿器科医が日常診療のなかで,あるいは自らの処置中・術中に泌尿器科臓器を医原性に損傷させる状況も実は多く,適切な治療方法を知っておく必要がある.例えば,尿道カテーテルの不適切な挿入により尿道出血,尿道損傷,偽尿道を形成した場合の対応,TUR-BTやHoLEPなどの経尿道的手術の際に膀胱を損傷した場合の対応などが当てはまろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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