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特集 症状と向き合う漢方の処方─“二刀流”それとも“一刀流”?
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著者: 皆川倫範1
所属機関: 1信州大学医学部泌尿器科学教室
ページ範囲:P.374 - P.375
文献購入ページに移動しかし,「日本の医師が皆二刀流で診療しているか?」というとそうでもない.「あの人は漢方が得意だから」といわれる一部の医師だけが“二刀流”なのである.それどころか,あまりに得意すぎると“一刀流”になってしまう.そして,完全にそれぞれの診療体系を尊重した形で“二刀流”を実践すると,多少の無理が生じる.その主たる原因として,処方基準が異なる点が挙げられる.西洋医学では処方基準が診断名にあるのに対し,漢方医学では処方基準が体質と症状にある.それらを別々に取り扱うのが混乱のもとかもしれない.また,「証」や「陰陽」など,不慣れな概念を無理に診療に持ち込もうとするのも問題である.症状はともかく,体質といわれても多くの泌尿器科医には困る話である.もともと,漢方医学は画像診断などがないところから組まれた医療体系で,証や陰陽は処方の打率(奏効率)を上げる1つの工夫である.現在の医療においては,通常の診療である程度の検査をすれば,ある程度の疾患や病態が絞れてしまう.
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