icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科71巻6号

2017年05月発行

文献概要

特集 症状と向き合う漢方の処方─“二刀流”それとも“一刀流”?

企画にあたって フリーアクセス

著者: 皆川倫範1

所属機関: 1信州大学医学部泌尿器科学教室

ページ範囲:P.374 - P.375

文献購入ページに移動
 宮本武蔵の二刀流は「二天一流」と呼ばれる流儀で,右手の大太刀と左手の小太刀で戦う剣道の流派である.他方,日本の医師免許は西洋薬と漢方薬の両方を処方できる“二刀流”ライセンスである.当たり前のようだが,国際的にはそうでもない.中国や台湾では,漢方薬の診療を行うには別の教育を受ける必要があり,それぞれが特化されている.西洋と漢方の“二刀流”診療ができるのは,本邦の特徴であり長所である.

 しかし,「日本の医師が皆二刀流で診療しているか?」というとそうでもない.「あの人は漢方が得意だから」といわれる一部の医師だけが“二刀流”なのである.それどころか,あまりに得意すぎると“一刀流”になってしまう.そして,完全にそれぞれの診療体系を尊重した形で“二刀流”を実践すると,多少の無理が生じる.その主たる原因として,処方基準が異なる点が挙げられる.西洋医学では処方基準が診断名にあるのに対し,漢方医学では処方基準が体質と症状にある.それらを別々に取り扱うのが混乱のもとかもしれない.また,「証」や「陰陽」など,不慣れな概念を無理に診療に持ち込もうとするのも問題である.症状はともかく,体質といわれても多くの泌尿器科医には困る話である.もともと,漢方医学は画像診断などがないところから組まれた医療体系で,証や陰陽は処方の打率(奏効率)を上げる1つの工夫である.現在の医療においては,通常の診療である程度の検査をすれば,ある程度の疾患や病態が絞れてしまう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら