icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科72巻4号

2018年04月発行

雑誌目次

増刊号特集 泌尿器内視鏡手術のすべて〈特別付録Web動画〉

フリーアクセス

著者:

ページ範囲:P.3 - P.3

総論

フリーアクセス

著者:

ページ範囲:P.7 - P.7

内視鏡手術に必要な微細解剖の知識:腎・副腎

著者: 吉村耕治

ページ範囲:P.8 - P.14

Point

●腎の外側では外側円錐筋膜と前腎筋膜が合わさった結果,後腎筋膜となり腰方形筋筋膜に付着する.

●副腎の静脈系では,中(後)副腎静脈,上副腎静脈などの細かい枝について留意する必要がある.

●右副腎と肝臓は10〜30%の頻度で組織学的な境界をもたない.

内視鏡手術に必要な微細解剖の知識:骨盤

著者: 本田正史 ,   武中篤

ページ範囲:P.15 - P.23

Point

●骨盤解剖には,局所解剖学と理論的解剖学である外科解剖学がある.

●骨盤外科解剖学は,新規の手術機器および手術手技の導入などに伴い新しい知見が生まれてくる.

●自身の骨盤外科解剖学の知識を常にアップデートし,最新の知識に裏打ちされた理論的な手術手技を心がけることにより,腹腔鏡下手術やロボット手術の特性を最大限に活かすことが可能になる.

副腎・腎・後腹膜の手術

フリーアクセス

著者:

ページ範囲:P.25 - P.25

腹腔鏡下副腎摘除術(右・左)

著者: 花井一也 ,   宮嶋哲

ページ範囲:P.26 - P.31

Point

●経腹膜到達法において,右側では十分に肝を挙上すること,左側では腎前面を大きく展開することが重要である.

●左右いずれの術式においても,剝離した血管側をブリッジとして牽引に利用することが,副腎を把持せずに手術を行うために最も重要である.

●5cmを超える副腎腫瘍に対しては,後腹膜到達法にもメリットがあると考えている.

後腹膜鏡下副腎摘除術(右・左)

著者: 宮川康 ,   福原慎一郎 ,   野々村祝夫

ページ範囲:P.32 - P.36

Point

●副腎血管はほかの臓器のように血管門がなく,多くの動脈が周囲より直接副腎に入り,一部は下横隔静脈,腎被膜静脈と交通して腎被膜静脈叢を形成するという解剖的特徴をよく理解して手術に臨む.

●後腹膜鏡下副腎摘除術は後腹膜にメルクマークとなる臓器がないので,まずは大血管,腎動脈や尿管を同定してオリエンテーションをつける.

●副腎は被膜が薄く組織自体も脆いため,裂かないように周囲より丁寧に剝離する.特に右側では肝副腎融合の存在に留意し,融合があればあえて肝臓へ切り込むか,あるいは副腎へ切り込むかの判断をする.

単孔式腹腔鏡下副腎摘除術(右・左)

著者: 井上省吾 ,   亭島淳 ,   松原昭郎

ページ範囲:P.37 - P.46

Point

●屈曲鉗子を使用するクロスオーバー法を修得することで,手術成績は従来法と同等で,整容性に優れた術式が可能となる.

●アクセスポートや屈曲鉗子は多様化しており,器具の選択が重要である.

●手術器具の干渉を防ぐためには,屈曲鉗子のほかに5mmフレキシブル内視鏡が必須である.

●周囲臓器の展開を十分に施行するも難渋する場合には,ポートの追加を躊躇しない.

腹腔鏡下腎摘除術(左・右)

著者: 三島崇生 ,   松田公志

ページ範囲:P.47 - P.54

Point

●腸管脱転時にゲロタ筋膜の存在を十分に理解し,その層での剝離を進める.

●血管周囲剝離においては,剝離すべき層の認識と十分な剝離が重要である.

●鋭的な切開を行う膜と鈍的な剝離を行う組織を認識する.

後腹膜鏡下腎摘除術(右・左)

著者: 羽渕友則

ページ範囲:P.55 - P.62

Point

●最初に腎背面に広く良好な術野を確保する.

●腎茎が広く展開された状態で腎動静脈を処理する.

●腎周囲脂肪を乱すことなく,腎にきれいに付着される適切な層を維持して摘出する.

単孔式腹腔鏡下腎摘除術(左・右)

著者: 桶川隆嗣 ,   板谷直

ページ範囲:P.63 - P.69

Point

●GelPOINTTMの4チャンネルのポートは1つが内視鏡用で,ほかの2チャンネルは左手に(可変彎曲型)把持鉗子,右手にフック付吸引管(EndopathTM),必要時には残り1チャンネルにスネークリトラクターを用い,コンバインド法またはパラレル法で行う.

●後腹膜的左腎摘術の場合は,左からの剝離操作と干渉しないためには可変彎曲型把持鉗子の屈曲部位が術野右から左となるような位置に置くことが重要である.後腹膜的右腎摘術の場合も,可変彎曲型把持鉗子の屈曲部位が術野右から左となるような位置に置き術野を確保しながら,操作のストレスを軽減する.

●腎上極周囲での操作においては左右の鉗子が手元で干渉するため,左右の鉗子をクロスさせることで両鉗子が接線の方向になることを防ぐ.

ハンドアシスト腹腔鏡下移植用腎採取術(左・右)

著者: 渡井至彦 ,   平光高久 ,   岡田学

ページ範囲:P.70 - P.77

Point

●ドナーの安全を最大限に確保し,出血時に即効果的な止血が用手的に可能である.

●腎臓の愛護的操作,腎動脈周囲処理を最後に行うことで,急性尿細管壊死のリスク回避など,開放手術と同等の移植腎機能温存が可能である.

●レシピエント側での血管合併症のリスクを最小限にするための,開放手術と同等の血管長確保(腎動脈・腎静脈)が可能である.

●移植外科医全員がドナー術者となりうる.ドナーおよびレシピエント手術両方の経験豊かな移植外科医の育成が可能である.

腹腔鏡下腎部分切除術(右・左)

著者: 町田二郎 ,   渡邊紳一郎 ,   福井秀幸

ページ範囲:P.78 - P.86

Point

●腎部分切除適応となる腫瘍の位置に応じ腎を自在に授動し,腫瘍位置をカメラ正面に据えることができるように適切な腎周囲剝離を行う.

●切除は切離面に洗浄水をかけながら実質の鈍的剝離と鋭的切離を使い分けることで,血管を認識しやすくする.

●縫合は連続,結節どちらでもよいが,腎杯腎盂系と血管のある腎洞腎髄質系の縫合は別々が望ましい.

後腹膜鏡下腎部分切除術(右・左)

著者: 繁田正信 ,   岩本秀雄 ,   甲田俊太郎

ページ範囲:P.87 - P.94

Point

●腎門部付近の腫瘍の場合,尿路,腎動脈と腫瘍の間を可及的に剝離しておく.

●腎血流遮断後,腎被膜,腎皮質はハサミで鋭的に,腎髄質,腎洞内はシーリングデバイスで鈍的に剝離する.

●尿路修復は尿路同士が縫合閉鎖できるもののみ行う.できないものは腎実質縫合で圧迫閉鎖する.

●腎実質縫合は片手の運針のみではすべて対応できないことを知っておく.

ロボット支援腎部分切除術(右・左)

著者: 近藤恒徳

ページ範囲:P.95 - P.102

Point

●全阻血あるいは選択的阻血であっても,確実に腫瘍への動脈をクランプする必要があり,術前画像の確認とシミュレーションが重要である.

●腫瘍の切除では鈍的剝離を多用して腫瘍へ切り込まないようにし,腫瘍周囲に少し正常腎組織をつけて切除するのが安全である.

●Inner sutureはただ単に腎洞部を閉鎖するのではなく,切除床の血管断端の縫合止血,開放尿路の閉鎖を確実にやる意識で行う.

腹腔鏡下後腹膜リンパ節郭清術

著者: 伊藤明宏 ,   山下慎一 ,   荒井陽一

ページ範囲:P.103 - P.109

Point

●後腹膜展開では,正しいプレーンで展開することが肝要である.腹膜や尿管周囲組織を挙上し,大血管周囲脂肪層を下げることで,境目の粗な結合組織が自ずと見えてくる.

●リンパ節郭清では,リンパ管を損傷しないように十分にシーリングするかクリッピングを行って,術後のリンパ瘻を予防する.

尿管・膀胱の手術

フリーアクセス

著者:

ページ範囲:P.111 - P.111

腹腔鏡下腎盂形成術

著者: 岩村正嗣 ,   西盛宏

ページ範囲:P.112 - P.118

Point

●尿管を鉗子で直接把持することは極力避け,牽引が必要な場合は血管テープなどを用いる.切離予定の部位を尿管断端に残しておくと把持・牽引に便利である.

●Anderson-Hynes法で,腎盂から尿管を完全に切離する前に尿管外側に縦切開を入れておくと方向が把握しやすい.

●腎盂尿管吻合では,尿管側のバイトはできるだけ薄くとるように心がける.また,吻合部に過度の緊張がかからないよう,尿管は余裕をもって剝離しておく.

単孔式腹腔鏡下腎盂形成術(右・左)

著者: 上仁数義 ,   小林憲市 ,   河内明宏

ページ範囲:P.119 - P.127

Point

●肥満体型の患者,著明な炎症,複雑な解剖が予想される場合は,多孔式のほうが望ましい.

●ポートの出し入れを容易にし,かつ鉗子の干渉を防ぐために,皮下組織および筋膜を皮膚切開よりも広く十分に剝離しておく.

●術創は臍と2〜3mmの左手ポートのみであり,美容的に優れている.

ロボット支援腎盂形成術

著者: 小林泰之

ページ範囲:P.128 - P.133

Point

●適切な層で剝離を行い,尿管〜腎盂の同定・剝離を行う.狭窄部をきちんと把握し,狭窄部が残存しないように確実に切除を行う.

●ロボット鉗子の把持力は強く,把持による組織の挫滅を引き起こす.吻合部となる尿管や腎盂を把持せずに吻合ができる手術手順の理解が重要である.

●本術式の成否を決定するのは,スーチャーアンカーとその近傍2針の運針と,余剰腎盂の切離デザインである.

腹腔鏡下逆流防止術:膀胱外アプローチ

著者: 佐藤雄一 ,   小島祥敬

ページ範囲:P.134 - P.138

Point

●下部尿管の剝離では,電気メスの使用を最小限とし,愛護的な操作で骨盤神経叢の温存に努める.

●膀胱筋層の切開では,粘膜が十分に露出するように剝離し,尿管膀胱移行部も全周性に剝離する.

●Ureteral advancementを追加することで,粘膜下トンネル長を延長することが可能である.

腹腔鏡下逆流防止術:気膀胱手術

著者: 坂本亘

ページ範囲:P.139 - P.146

Point

●空気漏れしない気膀胱を作成する.これが問題なく完成すると,この手術はほぼうまくいくと言っても過言ではない.

●尿管は膀胱内に5〜6cmほど余裕をもって引き込める程度剝離する.鉗子で把持しなくても,新尿管口予定の部位で緊張なく留まることが肝要である.

●十分な長さの粘膜下トンネルをつくる.

ロボット支援逆流防止術

著者: 水野健太郎 ,   安井孝周 ,   林祐太郎

ページ範囲:P.147 - P.152

Point

●膀胱外アプローチによるロボット支援逆流防止術について概説する.

●手術に先立ち,尿管カテーテルを留置する.トロッカーは4本,軽度頭低位で行う.

●尿管剝離の際には綿テープなどで挙上すると操作しやすい.膀胱粘膜を損傷しないように筋層を切開する.尿管を埋め込み,膀胱筋層を結節縫合する.

経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)

著者: 三宅牧人 ,   藤本清秀

ページ範囲:P.153 - P.157

Point

●腫瘍形態や画像診断所見を評価し,適切な切除アプローチを選択する.

●主病変周囲には非可視病変や微小病変が存在することが多く,field resectionを意識したマージン切除・深部切除が重要である.

●再発率は初回TURBTの施設間および術者間のTURBTの質の格差に起因するところが大きく,TURBTの手技の重要性を認識する.

腹腔鏡下尿膜管摘出術

著者: 清水史孝

ページ範囲:P.158 - P.162

Point

●臍周囲U字切開アプローチでは,臍の背面で腹膜前腔の層を見極めることが重要である.臍索を間違って切離してしまわないように,臍周囲の6時方向の腹直筋鞘後葉の切開は臍索がある程度遊離されてから行うとよい.

●経腹膜的アプローチによる腹腔鏡下尿膜管摘出術は,正中臍索(尿膜管遺残)・側方臍索をプレート状に剝離することが肝要である.

腹腔鏡下膀胱全摘除術:男性患者

著者: 佐藤文憲 ,   秦聡孝 ,   三股浩光

ページ範囲:P.163 - P.168

Point

●原則リンパ節郭清を併用する.膀胱剝離の前に腹膜切開と腸管の授動により視野を展開する.

●助手との協調性が重要である.膀胱の遊離には側方の血管群と直腸との間に十分なカウンタートラクションをかける.

●本術式は多くのステップの積み重ねによる.局面ごとに合理的な手技を追求し,安全かつ再現性の高い術式を確立すべきである.

腹腔鏡下膀胱全摘除術:女性患者

著者: 三木淳 ,   柳澤孝文 ,   岸本幸一

ページ範囲:P.169 - P.174

Point

●骨盤内の膜解剖を意識し,膀胱下腹筋膜と尿管下腹神経筋膜に裏打ちされた膀胱側腔,直腸側腔を展開することで,側方靱帯を同定する.

●膀胱と子宮の流入・流出血管である側方靱帯を,内腸骨(内陰部)動脈の起始部から確実に処理,内腸骨領域のリンパ節も膀胱と一括して摘出することで,出血を抑えた根治性の高い手術につながる.

●女性特有の臓器である傍腟組織をクリップとシーリングデバイスにより処理することで,出血を防止し,その後の尿道周囲処理を容易にする.

前立腺・尿道の手術

フリーアクセス

著者:

ページ範囲:P.175 - P.175

経尿道的前立腺切除術

著者: 鈴木康友 ,   近藤幸尋

ページ範囲:P.176 - P.180

Point

●膀胱頸部はショートストロークで膀胱頸部輪状被膜が確認できるまで切除するが,過度な切除は膀胱頸部硬化症のリスクとなる.

●5時または7時方向の膀胱頸部輪状被膜をスタートとし,括約筋手前までのラインをまずつくり,それをメルクマールとして12時方向に全周性に切除する.

●括約筋付近は括約筋の動きを参考に必要以上に切除しない.括約筋より少し中枢で膀胱を観察し,きれいな円形ができていれば終了して問題ない.

ホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP)

著者: 岩本秀安 ,   小林隆彦 ,   賀本敏行

ページ範囲:P.181 - P.185

Point

●前立腺中葉の脇の5時,7時の切開をいっさい行わず,中葉,両葉を一塊として核出するOne lobe enucliation of HoLEP法を紹介する.

●HoLEP導入初期に多いといわれていた一過性尿失禁は,指導者がいれば経験しないですむ可能性がある.

経尿道的前立腺核出術(TUEB)

著者: 清水宏之 ,   長谷川潤 ,   沖守

ページ範囲:P.186 - P.188

Point

●剝離操作はどのブロックも必ず精丘近傍の近位端から開始する.

●直線的に1方向に剝離は進めず,剝離面を横に広げながら奥に進める.スパチュラをハンドル操作で押し出すことは行わずに,固定したまま内視鏡全体を動かして剝離する.

●正しい剝離面を見失った場合は深追いせず,手前に戻り正しい面を再確認して改めてそこから拡げていく.

光選択的前立腺レーザー蒸散術(PVP)

著者: 桑原勝孝

ページ範囲:P.189 - P.195

Point

●ファイバーと組織はファイバー1本分くらいの適切な距離を保つことが重要である.決して組織と接触してレーザーを照射してはいけない.深い蒸散(出血や痛みの原因)やファイバーの破損の誘因となる.

●細かなバブルが多数発生している状態が,効率のよい蒸散が行われている証拠である.このようなバブルを常に発生し続けるように,スイープの速度,組織とファイバーとの距離,レーザー出力を決定する.

●出血があった場合も慌てず,まずその周囲をそのままの出力で蒸散すれば血管ごと組織が蒸散され出血は止まる.あえて止血をする必要はない.止血モード(30W)で止血を行う場合も直接血管へ照射すべきではなく,周囲組織を蒸散し止血する.

腹腔鏡下前立腺全摘除術

著者: 佐々木裕 ,   頴川晋

ページ範囲:P.196 - P.202

Point

●LRPでは,トロッカー挿入位置を工夫することにより腹部手術既往例にも適宜対応可能である.

●膀胱頸部離断は側方からのアプローチを併用し,なるべく膀胱頸部を温存している.この際,内尿道括約筋の縦走筋構造にも注目する.

●神経温存手技では,エネルギーデバイスはできるだけ使用せず,クリップを使用して行う.Lateral pedicleから流入する動脈は確実にクリッピング後に切断する必要性がある.

●DVCの切開は,バンチングは行わず鋭的切開時に動脈の断端のみをモノポーラで凝固し,すべて切断後に縫合閉鎖することで周囲への侵襲を最低限に抑えている.

●尿道の離断は側視を使用して,尿道の2層構造を認識した離断を行っている.

ロボット支援後腹膜鏡下前立腺全摘除術

著者: 奥村和弘

ページ範囲:P.203 - P.209

Point

●膀胱前腔拡張のポイントは,外側の腹膜付着部をできるだけ展開することである.下腹壁動静脈の頭外側にポートが留置できるスペースができるまで展開する.バルーン拡張で不十分な場合には,腹腔鏡操作にて剝離する.

●3rdアームを右側で用いる場合,対象物を下方向に牽引するときにはProGraspフォーセプスは1番アームに,逆に対象物を腹側に牽引するときには3番アームを用いることで干渉を防ぐことができる.

ロボット支援前立腺全摘除術

著者: 羽賀宣博 ,   小川総一郎 ,   小島祥敬

ページ範囲:P.210 - P.216

Point

●後方アプローチの際,デノビエ筋膜切開後に直腸前脂肪が見える層か,感覚的に薄い膜が直腸側に残った層で剝離を進める.

●膀胱と前立腺離断の際,前立腺に付着する膀胱の筋線維をメルクマールとして,離断を開始する.電気凝固を多用すると切離面が判然としなくなるため,その使用は最小限にしながら切離を進める.

●神経温存術施行時のperiprostatic fasciaの剝離の際は前立腺実質の損傷が起きやすいため,剝離は丁寧に行う.

尿道狭窄症・膀胱頸部硬化症に対する内尿道切開

著者: 堀口明男

ページ範囲:P.217 - P.221

Point

●内尿道切開は尿道狭窄症や膀胱頸部硬化症に伴う下部尿路閉塞に対して広く行われている治療である.

●内尿道切開は膀胱頸部硬化症には比較的有効であるが,尿道狭窄症に対する有効性は限定的なため症例を限定して施行するべきである.

●術前に尿路感染を確実にコントロールすること,ガイドワイヤー併用により術中に尿道内腔を見失わないこと,過剰な切開を行わないことが肝要である.

陰囊内臓器の手術

フリーアクセス

著者:

ページ範囲:P.223 - P.223

腹腔鏡下精巣固定術・精巣摘除術

著者: 内藤泰行 ,   安食淳 ,   浮村理

ページ範囲:P.224 - P.228

Point

●腹腔鏡下精巣固定術では腹膜下の脂肪層や細かい血管は腹膜側に残し,少しでも精巣への血液供給を確保する.

●Fowler-Stephens法の二期目の手術では,精管周囲には腹膜をつけて骨盤深くまで剝離する.

●一期的固定術か二期的Fowler-Stephens法のいずれを選択するかを判断する前には不必要な剝離はできるだけ避ける.

単孔式腹腔鏡下精索静脈瘤根治術

著者: 三好康秀 ,   湯村寧

ページ範囲:P.229 - P.232

Point

●創切開が小さすぎると,ラッププロテクターによる過度の圧迫により創部の整容性が低下するので注意する.

●頭低位により腹腔内で腹膜越しに左精索静脈瘤および左精管が容易に同定できる.同定困難な場合は,S状結腸の生理的癒着の剝離,精巣の牽引が有効である.

●精索静脈瘤に沿って腹膜を縦切開し,精索静脈と腹膜・腸腰筋筋膜間を剝離したのちに精索静脈を処理する.

小児・女性泌尿器関連の手術

フリーアクセス

著者:

ページ範囲:P.233 - P.233

腹腔鏡下上半腎摘除術

著者: 益子貴行 ,   矢内俊裕

ページ範囲:P.234 - P.238

Point

●手術に先立ち,下半腎由来尿管にステントを留置しておくと,温存する下半腎由来尿管を確実に判別できる.また,ステントから色素を注入することにより,切除断端の尿漏の有無を確認することが可能である.

●切除する上半腎由来尿管を上部尿管で離断し,腎門から頭側へ引き抜いて牽引すると,切離すべき血管が明確になりやすい.

●適応疾患における上半腎は低形成であるため,元来血流が不良であることからdemarcation lineが不明瞭な場合もあるが,その際には腎実質のnotchを目安に切開する.

尿管瘤に対する経尿道的切開術

著者: 坂井清英 ,   佐竹洋平 ,   相野谷慶子

ページ範囲:P.239 - P.245

Point

●尿管瘤のうちintravesical ureteroceleでは,内視鏡手術による根治性が高い.

●Ectopic ureteroceleでは,内視鏡手術の根治性は低く,その後の尿路再建を想定して内視鏡手術を行う.

●膿腎症を含めた尿路感染を併発した場合や膀胱頸部〜後部尿道の閉塞で尿排出障害を来す場合には,緊急的に内視鏡手術を行う.

●尿管瘤は4つの病型に瘤所属腎の皮質機能,および姉妹尿管,対側尿管へのVURの有無を評価したうえで,系統的に手術治療方針を考える.

内視鏡下逆流防止術

著者: 中山哲成 ,   宋成浩

ページ範囲:P.246 - P.249

Point

●ヒアルロン酸ナトリウム/デキストラマー(Deflux®)注入時は,膀胱を過伸展させないよう注意する.

●注入量は逆流尿管口がスリット状となり,灌流液による水圧で拡張しなくなる程度を目安とするが,術後に注入材の容積が20%程度減少することを念頭に置く.

●術式としては,STING法,HIT法およびdouble HIT法があるが,これらのなかでdouble HIT法が最も成功率が高く,近年は同手法が主流となっている.

後部尿道弁に対する経尿道的切開術

著者: 杉多良文 ,   武中良大 ,   大饗政嗣

ページ範囲:P.250 - P.253

Point

●空いている手で膀胱を頭側から押さえ,排尿させながら観察する.切開する際も同様に排尿させながら行う.

●TypeⅠの後部尿道弁はコールドナイフを用いて,12時,7時,5時を切開するのが一般的である.

●鎌形の切開刀が後部尿道弁を引っかけやすく,最も有用である.

腹腔鏡下仙骨腟固定術

著者: 野村昌良

ページ範囲:P.254 - P.263

Point

●適切に骨盤腔内を露出する.

●前腟壁および後腟壁の安全確実な剝離とメッシュの固定が肝要である.

●子宮頸部が適切な位置になるように岬角にメッシュを固定する.

結石関連の手術

フリーアクセス

著者:

ページ範囲:P.265 - P.265

経皮的腎砕石術(PNL)

著者: 志賀直樹

ページ範囲:P.266 - P.273

Point

●腎の解剖と周囲臓器の位置関係,体位変化,腎杯の形態と結石の存在部位から穿刺位置をよく吟味し,結石にアプローチしやすい腎瘻を作成する.

●安全のため穿刺はカラードプラを併用し,超音波ガイド下に行う.

●結石の大きさと性状を考慮して適切な内視鏡サイズと破砕装置を選択し,効率のよい砕石と抽石を行う.

経尿道的尿管結石破砕術:硬性鏡(rTUL)

著者: 荒川孝 ,   馬場優人 ,   別所英治

ページ範囲:P.274 - P.278

Point

●尿管口から硬性尿管鏡を安全に挿入するためには,先にセイフティガイドワイヤーを留置する.さらに,尿管鏡からもう1本のガイドワイヤーを尿管内に挿入し,2本のガイドワイヤーで尿管口を開くようにして挿入するのがよい.

●TULは対象となる結石の位置・結石の大きさ・癒着の有無・水腎症の程度・尿管の屈曲の有無,stone streetの状態か否かなどにより難易度が全く異なる.

●TULは結石を破砕し完全に除去するのが基本であるが,結石による閉塞が高度である症例では故意に破砕片をプッシュバックさせることもある.

経尿道的尿管結石破砕術:軟性鏡(fTUL)

著者: 多武保光宏

ページ範囲:P.279 - P.284

Point

●尿管アクセスシース挿入前に尿管狭窄の有無を確認し,尿管損傷に注意する.

●軟性尿管鏡の基本操作のなかで,左右腎臓の軸をイメージした回転操作が重要である.

●破砕方法によりレーザー出力設定を変更し,十分に破砕を行ったうえでバスケットカテーテルによる抽石を行う.

--------------------

目次 フリーアクセス

ページ範囲:P.4 - P.5

奥付 フリーアクセス

ページ範囲:P.288 - P.288

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

76巻13号(2022年12月発行)

特集 これだけは知っておきたい! 泌尿器科診療でも活きる腎臓内科の必須知識

76巻12号(2022年11月発行)

特集 ブレずに安心! 尿もれのミカタ

76巻11号(2022年10月発行)

特集 限局性前立腺癌診療バイブル―このへんでキッチリと前立腺癌診療の“あたりまえ”を整理しよう!

76巻10号(2022年9月発行)

特集 男性不妊診療のニューフロンティア―保険適用で変わる近未来像

76巻9号(2022年8月発行)

特集 前立腺肥大症(BPH)の手術療法―臨床現場の本心

76巻8号(2022年7月発行)

特集 泌尿器腫瘍における放射線治療―変革期を迎えた令和のトレンド

76巻7号(2022年6月発行)

特集 トラブルゼロを目指した泌尿器縫合術―今さら聞けない! 開放手術のテクニック

76巻6号(2022年5月発行)

特集 ここまで来た! 腎盂・尿管癌診療―エキスパートが語る臨床の最前線

76巻5号(2022年4月発行)

特集 実践! エビデンスに基づいた「神経因性膀胱」の治療法

76巻4号(2022年4月発行)

増刊号特集 専門性と多様性を両立させる! 泌尿器科外来ベストNAVI

76巻3号(2022年3月発行)

特集 Female Urologyの蘊奥―積み重ねられた知恵と技術の活かし方

76巻2号(2022年2月発行)

特集 尿路性器感染症の治療薬はこう使う!―避けては通れないAMRアクションプラン

76巻1号(2022年1月発行)

特集 尿道狭窄に対する尿道形成術の極意―〈特別付録Web動画〉

75巻13号(2021年12月発行)

特集 困った時に使える! 泌尿器科診療に寄り添う漢方

75巻12号(2021年11月発行)

特集 THEロボット支援手術―ロボット支援腎部分切除術(RAPN)/ロボット支援膀胱全摘除術(RARC)/新たな術式の徹底理解〈特別付録Web動画〉

75巻11号(2021年10月発行)

特集 THEロボット支援手術―現状と展望/ロボット支援前立腺全摘除術(RARP)の徹底理解〈特別付録Web動画〉

75巻10号(2021年9月発行)

特集 今こそ知りたい! ロボット時代の腹腔鏡手術トレーニング―腹腔鏡技術認定を目指す泌尿器科医のために〈特別付録Web動画〉

75巻9号(2021年8月発行)

特集 ED診療のフロントライン―この一冊で丸わかり!

75巻8号(2021年7月発行)

特集 油断大敵! 透析医療―泌尿器科医が知っておくべき危機管理からトラブル対処法まで

75巻7号(2021年6月発行)

特集 前立腺肥大症(BPH)薬物治療のニューノーマル―“とりあえず”ではなくベストな処方を目指して

75巻6号(2021年5月発行)

特集 躍動するオフィスウロロジー―その多様性に迫る!

75巻5号(2021年4月発行)

特集 前立腺癌のバイオロジーと最新の治療―いま起こりつつあるパラダイムシフト

75巻4号(2021年4月発行)

増刊号特集 泌尿器科当直医マニュアル

75巻3号(2021年3月発行)

特集 斜に構えて尿路結石を切る!―必ず遭遇するイレギュラーケースにどう対処するか?

75巻2号(2021年2月発行)

特集 複合免疫療法とは何か? 腎細胞癌の最新治療から学ぶ

75巻1号(2021年1月発行)

特集 朝まで待てない! 夜間頻尿完全マスター

74巻13号(2020年12月発行)

特集 コロナ時代の泌尿器科領域における感染制御

74巻12号(2020年11月発行)

特集 泌尿器科医のためのクリニカル・パール―いま伝えたい箴言・格言・アフォリズム〈下部尿路機能障害/小児・女性・アンドロロジー/結石・感染症/腎不全編〉

74巻11号(2020年10月発行)

特集 泌尿器科医のためのクリニカル・パール―いま伝えたい箴言・格言・アフォリズム〈腫瘍/処置・救急・当直編〉

74巻10号(2020年9月発行)

特集 令和最新版! 泌尿器がん薬物療法―手元に置きたい心強い一冊

74巻9号(2020年8月発行)

特集 泌尿器腫瘍の機能温存手術―知っておくべき適応と限界

74巻8号(2020年7月発行)

特集 これが最新版! 過活動膀胱のトリセツ〈特別付録Web動画〉

74巻7号(2020年6月発行)

特集 小児泌尿器科オープンサージャリー―見て学ぶプロフェッショナルの技〈特別付録Web動画〉

74巻6号(2020年5月発行)

特集 高齢患者の泌尿器疾患を診る―転ばぬ先の薬と手術

74巻5号(2020年4月発行)

特集 ここが変わった! 膀胱癌診療―新ガイドラインを読み解く

74巻4号(2020年4月発行)

増刊号特集 泌尿器科診療の最新スタンダード―平成の常識は令和の非常識

74巻3号(2020年3月発行)

特集 泌尿器科手術に潜むトラブル―エキスパートはこう切り抜ける!

74巻2号(2020年2月発行)

特集 いま話題の低活動膀胱―これを読めば丸わかり!

74巻1号(2020年1月発行)

特集 地域で診る・看取る緩和ケア―泌尿器科医として知っておくべきこと

icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら