文献詳細
小さな工夫
文献概要
本邦では,2014年に骨盤臓器脱に対して腹腔鏡下腟仙骨固定術(laparoscopic sacrocolpopexy : LSC)が保険適用となり,当院でも2016年2月〜2019年3月に83例を施行した.LSCにおけるポート位置は,臍上にカメラポート(12mm),左腸骨稜より3横指臍よりに術者左手ポート(12mm),恥骨と臍の中点やや右よりに術者右手ポート(5mm),右腸骨稜より4横指臍よりに助手用ポート(5mm)を留置している.
そのなかで,術者左手12mmポート創から腸管の脱出を2例(2.6%)経験した.1例は他院で徒手整復され,その後再発は認めていない.もう1例は腹腔内より筋膜前鞘下に小腸が嵌頓し,小腸切除術とヘルニア根治術を要した.ポート孔ヘルニアの頻度は,腹腔鏡手術症例全体の0.04〜4.0%と報告されており,諸家の報告と同等の結果となっている1).ポート孔ヘルニアの原因として,①トロッカーの鋭角な穿刺と手術操作によるポート孔の開大,②手術中のポートの滑脱と再挿入に伴う筋膜の損傷,③ポート孔の不十分な閉鎖,④骨盤臓器脱患者特有の組織の脆弱性が考えられる.
そのなかで,術者左手12mmポート創から腸管の脱出を2例(2.6%)経験した.1例は他院で徒手整復され,その後再発は認めていない.もう1例は腹腔内より筋膜前鞘下に小腸が嵌頓し,小腸切除術とヘルニア根治術を要した.ポート孔ヘルニアの頻度は,腹腔鏡手術症例全体の0.04〜4.0%と報告されており,諸家の報告と同等の結果となっている1).ポート孔ヘルニアの原因として,①トロッカーの鋭角な穿刺と手術操作によるポート孔の開大,②手術中のポートの滑脱と再挿入に伴う筋膜の損傷,③ポート孔の不十分な閉鎖,④骨盤臓器脱患者特有の組織の脆弱性が考えられる.
参考文献
1) 米田政幸, 塩崎 敦, 藤原 斉, 他 : 腹腔鏡補助下食道切除術後にポート孔ヘルニアをきたした1例. 京府医大誌122 : 277-284, 2013
2) 二宮卓之, 田辺俊介, 前田直見, 他 : エンドクローズによるポート孔閉創のコツ. 臨外69 : 382-383, 2014
掲載誌情報