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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科73巻11号

2019年10月発行

小さな工夫

ポート孔ヘルニアを予防する閉創の工夫

著者: 西村謙一1 雑賀隆史1

所属機関: 1愛媛大学医学部附属病院泌尿器科

ページ範囲:P.858 - P.859

文献概要

本邦では,2014年に骨盤臓器脱に対して腹腔鏡下腟仙骨固定術(laparoscopic sacrocolpopexy : LSC)が保険適用となり,当院でも2016年2月〜2019年3月に83例を施行した.LSCにおけるポート位置は,臍上にカメラポート(12mm),左腸骨稜より3横指臍よりに術者左手ポート(12mm),恥骨と臍の中点やや右よりに術者右手ポート(5mm),右腸骨稜より4横指臍よりに助手用ポート(5mm)を留置している.

 そのなかで,術者左手12mmポート創から腸管の脱出を2例(2.6%)経験した.1例は他院で徒手整復され,その後再発は認めていない.もう1例は腹腔内より筋膜前鞘下に小腸が嵌頓し,小腸切除術とヘルニア根治術を要した.ポート孔ヘルニアの頻度は,腹腔鏡手術症例全体の0.04〜4.0%と報告されており,諸家の報告と同等の結果となっている1).ポート孔ヘルニアの原因として,①トロッカーの鋭角な穿刺と手術操作によるポート孔の開大,②手術中のポートの滑脱と再挿入に伴う筋膜の損傷,③ポート孔の不十分な閉鎖,④骨盤臓器脱患者特有の組織の脆弱性が考えられる.

参考文献

1) 米田政幸, 塩崎 敦, 藤原 斉, 他 : 腹腔鏡補助下食道切除術後にポート孔ヘルニアをきたした1例. 京府医大誌122 : 277-284, 2013
2) 二宮卓之, 田辺俊介, 前田直見, 他 : エンドクローズによるポート孔閉創のコツ. 臨外69 : 382-383, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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