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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科74巻4号

2020年04月発行

増刊号特集 泌尿器科診療の最新スタンダード―平成の常識は令和の非常識

内分泌疾患

原発性アルドステロン症

著者: 酒井英樹1

所属機関: 1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科泌尿器科学

ページ範囲:P.190 - P.193

文献概要

以前の常識

・スクリーニング検査の対象は高血圧症例全例であり,血漿レニン活性(PRA)と血漿アルドステロン濃度(PAC)を同時に測定し,PAC/PRA比(ARR)>200をカットオフ値としていた.

・スクリーニング検査陽性の場合,3つの機能確認検査(カプトプリル試験,フロセミド立位試験,生理食塩水負荷試験)のうち2種類以上を行い,確定診断を行っていた.

・副腎静脈サンプリング(AVS)によるアルドステロン産生腺腫局在診断の指標として,ACTH負荷後の副腎静脈PAC>1万4000pg/mL,lateralized ratio(LR)≧2.6またはcontralateral ratio(CR)<1が推奨されていた.

現在の常識

・スクリーニング検査の対象は,原発性アルドステロン症が高頻度にみられる高血圧患者であり,ARR>200+PAC>120pg/mLの組み合わせによるスクリーニングが推奨されている.

・スクリーニング検査陽性の場合,4つの機能確認検査(カプトプリル試験,フロセミド立位試験,生理食塩水負荷試験,経口食塩負荷試験)のうち,少なくとも1種類の陽性を確認することが推奨されている.

・AVSによる局在診断においては,LR>4かつCR<1をカットオフ値として手術適応を決定することが推奨されている.

参考文献

1) Funder JW, et al : Case Detection, Diagnosis, and Treatment of Patients With Primary Aldosteronism : An Endocrine Society Clinical Practice Guideline. J Clin Endocrinol Metab 93 : 3266-3281, 2008
2) 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会(編) : 高血圧治療ガイドライン2009. ライフサイエンス出版, 東京, 2009
3) 日本内分泌学会原発性アルドステロン症検討委員会 : 原発性アルドステロン症の診断治療ガイドライン―2009. 日内分泌会誌86(Suppl 2): 1-19, 2010
4) 日本内分泌学会「原発性アルドステロン症ガイドライン実施の実態調査と普及に向けた標準化に関する検討」委員会(編) : わが国の原発性アルドステロン症の診療に関するコンセンサス・ステートメント. 診断と治療社, 東京, 2016
5) 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会 : 高血圧治療ガイドライン2019. ライフサイエンス出版, 東京, 2019
6) Funder JW, et al : The Management of Primary Aldosteronism : Case Detection, Diagnosis, and Treatment : An Endocrine Society Clinical Practice Guideline. J Clin Endocrinol Metab 101 : 1889-1916, 2016
7) Satani N, et al : Intra-adrenal Aldosterone Secretion : Segmental Adrenal Venous Sampling for Localization. Radiology 278 : 265-274, 2016
8) Monticone S, et al : Understanding Primary Aldosteronism : Impact of Next Generation Sequencing and Expression Profiling. Mol Cell Endocrinol 399 : 311-320, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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