文献詳細
連載 医薬系プレゼンテーションの技術―知れば,学べば,必ず上達!・第18回
プレゼンテーションのためのリハーサル
著者: 井上貴昭123
所属機関: 1原泌尿器科病院 2神戸大学泌尿器科 3国際プレゼンテーション協会(IPS)医学プレゼンテーションチーム
ページ範囲:P.526 - P.530
文献概要
さて,プレゼンテーションのリハーサルと聞くと本番前の練習というイメージであろう.頑張って時間をかけて作成したスライドを見ながら,前もってA4の紙に書き記した文章を時間内に読み上げる作業を繰り返すといったことを想像しやすい.ある意味では間違いではないが,ただ単に文章を制限時間内に読み上げるだけならば“古典的リハーサル”といったところであろう.リハーサルの意味はもっと奥深い!! 少し想像してみよう.音楽興行や演劇,イベント,またはテレビ・映画などのリハーサルでは,音響・照明・舞台装置などと演者の兼ね合いを確認したり,実際の進行などのチェック,そして予定される内容を実際に行って,その状態をチェックするのが目的であろう.すなわち,本番のためにすべてを完璧にリハーサルするわけだ.ただそれだけではない.最も大切なことはリハーサル中にそれらの見直しが並行して行われ,問題が出たら中断して改善することにある.そう! プレゼンテーションのリハーサルも,ただ単に文章を制限時間内に読み上げることだけではない.しっかりとした目的をもってリハーサルを行うことがとても意味がある.
では,あなたはなぜプレゼンテーションの前にリハーサルをするのだろうか? 本番で失敗したくないから? 周囲から良い評価をしてもらいたいから? それらはある意味正解であるが,最も大切なことは「リハーサルであなたの失敗・欠点を見つける」ことなのだ.失敗・欠点を見つけ,改善・修正する! これが最も大切なプレゼンテーション・リハーサルなのだ.あなたはこう思うかもしれない.「そんなこと言われても,忙しくてそんな時間なんてない」と.でも,アカデミー賞俳優でさえ本番前には観客のためにしっかりリハーサルをするのだ.あなたはこれからこう考えよう.“忙しいからこそ! 念入りにリハーサルをしよう”.
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