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編集後記
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著者:
大家基嗣
所属機関:
ページ範囲:P.612 - P.612
高校の指導要領が改定になり,2022年度から「地理総合」が必修科目となることをご存知でしょうか.私が高校生の頃は,社会科は日本史と世界史がメジャーで,理系ならば倫社・政経を選択する者はいても,文系・理系を問わず地理の選択は,理科における地学の選択くらいマイナーでした.隔世の観ではありますが,おそらく地球温暖化問題を取り上げ,二酸化炭素の削減を目指す,SDGsにリンクした国の方針の一環だと感じました.新聞記事を読みますと,私の印象は当たっていました.しかし,それ以上に強調されていたのが,防災意識の涵養です.確かに日本を襲う地震,洪水,土砂災害は脅威を増し,いざという時の実践力を育むことは喫緊の課題です.地理の必修化に賛成いたします.
ふと,私が賛成した理由は記事に納得したからではないような気がしました.私の日常生活が「地理」に彩られているからです.過去に本誌の編集後記で「東京散歩」を取り上げたのは,ブラタモリに似た地形に対する興味からです.坂の由来を立杭で学んで思いを馳せることは,地理と歴史が一体になった体験です.「地理」を学ぶことは,街の散策や自然を愉しむウォーキングに「深さ」を増すと思いました.