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交見室
膀胱頸部硬化症(BNC)を再考する
著者: 勝岡洋治1
所属機関: 1新久喜総合病院泌尿器科・透析センター
ページ範囲:P.679 - P.679
文献購入ページに移動ところで,昨今,BNCの病名を聞く機会が少ない.その原因には何があるのであろうか? BNCは,膀胱頸部の開大不全や硬化狭小(拘縮)化を主病変として,ほかに下部尿路閉塞症状を来すような明らかな器質的疾患を有しないものと定義されているが,本症の病態,病因について統一した見解は確立されていない.内視鏡的には,膀胱頸部の堤防状膨隆・挙上を認め,組織学的には粘膜下の結合織の増生が著明で,筋線維の萎縮膨化など退行性変化とともに間質の線維の増生が観察されている.しかし,このような器質的障害にBNCの原因を求める方向から,機能的失調に主眼を置く考え方に変化してきている.その背景には,尿流動態検査法による病態解析が大きく寄与している.本症は膀胱内圧上昇から最大排尿率が得られるまでの時間,最大開口時間の延長が特徴的であるといわれている.そこで,前立腺肥大症と同様に保存療法としてαブロッカーによる作用が期待されるが,改善効果は決定的でなく,最終的には外科治療が必要になると指摘されている.
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