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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科76巻1号

2022年01月発行

雑誌目次

特集 尿道狭窄に対する尿道形成術の極意―〈特別付録Web動画〉

企画にあたって フリーアクセス

著者: 堀口明男

ページ範囲:P.4 - P.5

 尿道狭窄は泌尿器科医が日常診療で遭遇するごくありふれた疾患です.原因は怪我や尿道カテーテルによる尿道損傷,経尿道的手術の後遺症,感染や炎症などさまざまで,狭窄部位も外尿道口から膀胱頸部までどこにでも起こり得ます.短い単発のシンプルな狭窄だけでなく,尿道全長に広がる複雑な狭窄もあります.

 このように尿道狭窄の臨床的シナリオは実に多様なのですが,泌尿器科医は長年にわたり内尿道切開や尿道ブジーといった経尿道的処置だけで戦ってきました.しかし,経尿道的処置は一時的に症状を改善するだけで,尿道狭窄を治すことはできないこと(むしろ尿道狭窄を悪化させるリスクが高いこと)が明らかになり,海外では尿道狭窄は開放手術(尿道形成術)で治療すべきと認識が大きく変わりました.海外の主要学会(AUA,EAU,SIU)は相次いで尿道狭窄に関するガイドラインを発表し,経尿道的処置の乱用を戒め,尿道形成術の積極的な適応を推奨するようになりました.一方,わが国では現在もなお“尿道狭窄は経尿道的処置で対応する”という考え方が根強く残っており,ほとんどの泌尿器科医は尿道形成術に馴染みがありません.

尿道形成術に必要な形成外科的テクニック―頰粘膜採取・移植・ヒンジフラップ作成の秘訣

著者: 東隆一

ページ範囲:P.6 - P.9

▶ポイント

・確実に粘膜を下床と密着固定する.

・血流や組織強度を保ったままヒンジフラップを起こす.

・術後リークしないようにヒンジフラップを縫合し,皮下組織でカバーする.

*本論文中、[▶動画]マークのあるものにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年1月末まで公開)。

球部尿道狭窄に対する狭窄部切除・尿道端々吻合術

著者: 田村芳美

ページ範囲:P.10 - P.13

▶ポイント

・狭窄部を切除しても陰茎が屈曲せず緊張のない尿道吻合が可能な症例,すなわち狭窄長2cm未満の球部狭窄が狭窄部切除・尿道端々吻合術(EPA)のよい適応である.

・狭窄部の完全切除,7〜10mmの尿道spatulateにより幅広い吻合口の形成,緊張のない吻合を行うための十分な尿道剝離が成功の鍵である.

・尿道の剝離は可能な限り鋭的に行う.鈍的に剝離すると正常な尿道を損傷し,利用できる尿道の長さを犠牲にすることがある.

*本論文中、[▶動画]マークのあるものにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年1月末まで公開)。

球部尿道狭窄に対するnon-transecting法による尿道形成術

著者: 新地祐介

ページ範囲:P.14 - P.18

▶ポイント

・尿道造影,内視鏡により狭窄部の状態を正確に評価する.尿道海綿体の瘢痕範囲の評価にはMRIが有用である.

・尿道海綿体の瘢痕が軽度の短い球部尿道狭窄は,non-transecting urethroplastyの選択が可能である.

・従来の狭窄部切除・尿道端々吻合術と比較して難度が高いので,導入時は執刀経験のある医師に相談することが望ましい.

*本論文中、[▶動画]マークのあるものにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年1月末まで公開)。

前部尿道狭窄に対する代用組織を利用したonlay法による一期的尿道形成術

著者: 田部井正

ページ範囲:P.20 - P.25

▶ポイント

・尿道形成術の術式選択の原則は,「狭窄部切除・尿道端々吻合術(EPA)/non-transecting anastomotic urethroplasty(NTAU)が可能な症例はEPA/NTAUで行う」ことである.

・代用組織は口腔粘膜か陰茎包皮を用いることが多い.

・術式ごとに長所と短所があり,患者背景や狭窄の特性に合わせた術式選択が重要である.

*本論文中、[▶動画]マークのあるものにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年1月末まで公開)。

前部尿道狭窄に対する代用組織を利用した二期的尿道形成術

著者: 浅沼宏 ,   岩佐俊 ,   高橋遼平 ,   大家基嗣

ページ範囲:P.26 - P.30

▶ポイント

・高度の排尿障害例では,膀胱瘻造設でurethral restを図り,抗菌薬投与で感染尿を解消しておく.

・狭窄病変の部位・範囲・深達度を,逆行性尿道造影・排尿時膀胱尿道造影・尿道鏡・MRIで評価する.

・一期目手術では,遊離グラフトを結節縫合とキルティング縫合で陰茎海綿体白膜に縫着する.

・二期目手術では,グラフト下の剝離は最小限とし,inverted sutureで尿道形成する.

*本論文中、[▶動画]マークのあるものにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年1月末まで公開)。

骨盤骨折に伴う尿道外傷に対する尿道形成術

著者: 兼松明弘

ページ範囲:P.32 - P.38

▶ポイント

・骨盤骨折による尿道外傷(PFUI)の初期対応としては,まず尿道造影を施行してから膀胱瘻を造設する.内視鏡下に尿道を一次整復する選択もあるが,功罪ともにある.

・術前評価では,はさみ打ち尿道造影とともに,陰茎血流の評価が球海綿体虚血を避けるために重要である.

・ほとんどの症例で狭窄部切除・尿道端々吻合(EPA)が可能であるが,専門施設での対処が望ましい.

*本論文中、[▶動画]マークのあるものにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年1月末まで公開)。

前立腺摘除後の膀胱頸部閉塞症および吻合部閉塞症の再建術

著者: 加藤晴朗 ,   飯島和芳 ,   山本哲平 ,   羽場知己

ページ範囲:P.40 - P.45

▶ポイント

・高度な膀胱頸部閉塞症や吻合部閉塞症は修復が困難なので,まずはこのような合併症を起こさないように手術や周術期管理を慎重に行う.

・軽度な閉塞症に対しては,内視鏡的切開をまず行ってもよい.

・内視鏡的切開で治癒しない場合や最初から高度な閉塞症例では,再建手術を考慮すべきではあるが,まずはエキスパートに相談する.修復できないこともある.

*本論文中、[▶動画]マークのあるものにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年1月末まで公開)。

小児の尿道狭窄に対する尿道形成術

著者: 守屋仁彦

ページ範囲:P.46 - P.49

▶ポイント

・小児の尿道狭窄の原因は,外傷性および医原性が多い.

・基本的な手術手技は成人と同様であるが,先天性疾患の症例ではすでに包皮に術創がある場合もあり,術式の選択に注意が必要である.

・尿道下裂術後などで瘢痕の程度が強い症例や索変形の矯正も同時に必要な場合には,二期的手術が選択される.

*本論文中、[▶動画]マークのあるものにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年1月末まで公開)。

女性の尿道狭窄に対する尿道形成術

著者: 嘉村康邦

ページ範囲:P.50 - P.54

▶ポイント

・尿道拡張後に再発を繰り返す場合,いたずらに尿道ブジーを継続するのではなく積極的に開放手術による根治術を考慮すべきである.

・遠位尿道狭窄に対する遠位尿道切除術は,根治性の高い優れた手術である.

・遠位〜中部尿道の尿道狭窄に対しては,腟壁や口腔粘膜をグラフトとして用いる尿道再建術が有用である.

*本論文中、[▶動画]マークのあるものにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年1月末まで公開)。

自己導尿路の造設―尿道狭窄治療の最終手段として

著者: 橘田岳也 ,   千葉博基 ,   篠原信雄

ページ範囲:P.56 - P.62

▶ポイント

・尿道狭窄治療の最終手段として,尿路変向術がある.

・自己導尿路の造設には,虫垂を利用したMitrofanoff法と小腸を利用したYang-Monti法が多く用いられる.

・長期間にわたって安定的に導尿操作が可能となるように,ストーマ,導管,膀胱粘膜下トンネル,膀胱は,できるだけ短くストレートになるように設計する必要がある.

*本論文中、[▶動画]マークのあるものにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年1月末まで公開)。

学会印象記

「第109回日本泌尿器科学会総会」印象記

著者: 田岡利宜也

ページ範囲:P.64 - P.65

「久しぶりにスカッとした!」.懇親会で石川さゆりさんがおっしゃった言葉.まさにその通り! COVID-19の感染状況により,昨今オンライン開催が主流となるなか,待ちに待ったface to faceの日本泌尿器科学会総会(2021年12月7〜10日@パシフィコ横浜).そして,盛り上がった懇親会でこの一言.大会長の大家基嗣先生の笑顔に慶應義塾大学の先生方の一体感も合わさって,私もおおいに感動した.「本当に参加できてよかった」と.

 大家先生と私とは,海外学会でお話しさせていただいたことをきっかけに,「西の舎弟」と呼んでいただけるようになった.この印象記も2回目の依頼で,私にとって今回もまさにプライスレス.西日本泌尿器科学会総会にて,私の拙い卒後教育講演を公聴してくださった大家先生の姿が,まっさきに目に浮かんだ.そして,手に取ったプログラム集.まず気になったのは“表紙”.開催概要を伝えることが主目的の表紙とは一線を画し,何か訴えかけてくる雰囲気を強く感じた.これは同封された攻略本も同様で,その童話の挿絵のような表紙をぱっと開いた先はグルメページ.尊敬する聖マリアンナ医科大学の菊地栄次先生のお勧めのお店はなぜか世田谷.今回追いかけるのは講演だけとし,その店に行くことを諦めた.一方,その全体の内容は短編集の体裁そのもので,なかでもプロモーションビデオに込められた大家先生の思いが,アリスが飛び込んだワンダーランドのごとく,とてつもなく広いことを知ることができた.

「第109回日本泌尿器科学会総会」印象記

著者: 桝田司

ページ範囲:P.66 - P.67

皆様のご協力のもと,現地開催形式で2021年12月7〜10日に第109回日本泌尿器科学会総会をパシフィコ横浜で無事に開くことができました.今回,私は総会の大会運営に携わらせていただいた立場として,この印象記を執筆させていただきます.

 遡ること2019年7月,大家基嗣大会長および浅沼宏事務局長の号令のもと,医局員が集まって企画案の話し合いが開かれたところから,われわれの総会運営は始まりました.もちろん世間が“コロナ”の“コ”の字も聞いたことがない頃であり,企画会議のなかではさまざまな案が飛び出し,慶應らしく派手に,そして盛大な総会が開かれることを皆,信じて疑ってはいませんでした.しかしながら,皆様ご存じのようにコロナ禍の影響で,第108回総会と同様,例年4月に開催されていた泌尿器科学会総会を12月に延期する運びとなりました.現地開催でやってもよいのか,はたまたオンライン開催にせざるを得ないのか,大家先生も最後の最後まで悩んでいらっしゃったのは想像に難くありません.最終的には幸いなことに,11月頃には全国的にもコロナに罹患された方々が比較的減少傾向にあったため,現地開催に舵を切ることとなりました.それでも実際,どれくらいの方々に横浜まで来場していただけるのか,どのような感染対策を施しながら学会を行うべきなのか,運営サイドとしては頭を抱える日々でした.

連載 医薬系プレゼンテーションの技術―知れば,学べば,必ず上達!・第25回【最終回】

プレゼンテーション技術からコミュニケーション能力UP

著者: 井上貴昭

ページ範囲:P.71 - P.76

プレゼンテーション能力とコミュニケーション能力
◯プレゼンマスターはコミュニケーション能力が高い

 プレゼンマスターはコミュニケーション能力が高い.しかし,逆に“話し上手”と言われる人はプレゼンテーションが上手いだろうか? 私はこの答えは一方ではYESで,他方ではNOだと思っている.つまり,一般的な“話し上手”がプレゼンテーションも上手いというわけではない,と言いたいのだ.例えば,飲み会で場を盛り上げるのが上手い人や,いつも話の輪の中心にいて周囲から評判がいい人は確かにコミュニケーション能力が高いのかもしれない.しかし,いざ大切な会議でのプレゼンテーション,大勢が見ている学会でのプレゼンテーションとなるとわけが違う.プレゼンテーションは前もって準備が必要とされる緊張する場面だ.たとえ社交的で“話し上手”であっても,準備をしなければ成功はありえない.でも,もしあなたがプレゼンテーション技術を一から学び,トレーニングし実践し,客観的に自分を見ることができ,さらにあなたが聞き手として今話しているプレゼンターを客観的に評価できれば,あなたはプレゼンテーション能力だけでなく,すでにコミュニケーション能力までも高い.

書評

泌尿器科当直医マニュアル―「臨床泌尿器科」編集委員会 編 フリーアクセス

著者: 三井貴彦

ページ範囲:P.19 - P.19

 泌尿器科は,新生児から高齢者まで幅広い年齢層を対象とした診療科ですが,対象疾患も泌尿器悪性腫瘍から下部尿路機能障害,小児泌尿器疾患,女性泌尿器疾患,腎機能障害,腎移植,内分泌疾患,外傷など,多岐にわたります.通常診療においても,これらの疾患に対する幅広い診療を行う必要があります.加えて当直の際には,経験する機会が少ない疾患や教科書にあまり詳細に記載されていない疾患に対する診療を行わなければならないことがあります.日中ですと上級医に相談すればよいですが,当直時には自分自身で判断しなければならないケースも珍しくありません.一方,経験する機会が少ない疾患や病態については,上級医であっても治療方針の決定に苦慮することも少なくないはずです.

 本書は総論から始まり,外来診療および入院診療で緊急で対応しなければならない疾患,さらに泌尿器科医が対応に苦慮する疾患まで,非常に良くまとまって解説されています.経験する機会が少ない疾患はもちろんですが,当直で経験する可能性のある各種疾患についても,「絶対に見逃してはいけないポイント」や「診療のフローチャート」が記載されていますので,限られた時間のなかで診療方針を立てる際に役に立つと思います.また,救急外来で診る可能性のある急性期の疾患や,近年泌尿器科でも使用頻度が増えている悪性腫瘍に対する分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などの有害事象への対処法は,通常の外来診療でも重宝できるかと思います.一方,超高齢社会を迎えた現在は高齢者の外科治療の機会が増えていますが,各種の術後合併症に対する対処法は,入院患者のケアに役立ちます.さらに,泌尿器科医があまり得意としない精神疾患や皮膚疾患に対する診療のポイントも詳細に記載されています.

臨床研究21の勘違い―福原俊一,福間真悟,紙谷司 著 フリーアクセス

著者: 菊地臣一

ページ範囲:P.39 - P.39

 昔日,己の臨床研究デザインの拙さをイヤと言うほど突き付けられたことがありました.臨床研究デザインの基本を学ばなければ世界で闘うことはできないと思うきっかけになった,恥ずかしい,そして悔しい痛切な経験でした.この本を手にしたとき,わが国の臨床研究の水準もここまできたのかと,万感胸に迫るものがあります.今の私には,わが国における臨床研究の現状がどのくらいかわかりません.したがって,以下に記すことが見当違いであれば見逃してください.

 病院に勤務しながら独りで臨床研究をしていた頃の話です.当時,回帰曲線の作成をコンパス,糸,そして手計算でやっていました.自ら理解して実践しないと論文作成は不可能でした.今は,キーボードに触れるだけで,一瞬でできてしまいます.

切る・縫う・結ぶ・止める 外科基本手技+応用スキル[Web動画付]―小坂眞一 著 フリーアクセス

著者: 宮入剛

ページ範囲:P.63 - P.63

 本書のタイトル『切る・縫う・結ぶ・止める』は外科手術の基本である.初めて手術室に足を踏み入れた研修医の時代から,先輩医師に口を酸っぱくして指導された手術手技のイロハである.例えば,駆け出しの時代に,椅子の背柱や机の脚などで繰り返し糸結びを練習した記憶は,どの外科医にも残っているであろう.しかし,それらの動作を巨細な指の動きのレベルまで突き詰めた外科医は,そう多くない筈である.

 本書は,外科医であれば普段何気なく行っている数々の基本手技を,手や腕の解剖学的特性から説き起こした他に類を見ない内容となっている.それらのメカニズムが,多数の写真やイラストによって解き明かされていくさまは,まるでベン・ホーガンの『モダン・ゴルフ』のように鮮やかである.あまつさえ,本書には著者自らが実演する動画が86本も添付されていて,実際の動作を見ながら学べるというおまけ付きである.

泌尿器科診療の最新スタンダード―平成の常識は令和の非常識―「臨床泌尿器科」編集委員会 編 フリーアクセス

著者: 伊藤明宏

ページ範囲:P.69 - P.69

 泌尿器科は,新生児から高齢者まで全ての年齢層を対象としており,扱う領域は,悪性疾患,尿路性器感染症,腎機能障害,腎移植,下部尿路機能障害,内分泌疾患,性機能障害,小児・女性泌尿器など,多岐にわたります.教育病院,市中病院,民間病院,クリニック,それぞれの施設やそれぞれの地域において特徴的な医療を行っており,泌尿器科疾患の全範囲に常に触れているわけではありませんので,全ての最新知見に精通している泌尿器科医は決して多くないと思います.一方,診療ガイドラインの改訂や取扱い規約の改訂は,以前よりも間隔が短くなっており,各自の守備範囲としている領域においても,全ての改訂内容をフォローできている専門医は決して多くはないことと思います.インターネットが身近に利用できる環境が整い,検索すれば最新情報を入手することは可能ですが,あまりなじみのない領域ではキーワードすら思いつくことができず,自分の知識をアップデートするのはなかなか容易ではないのが現実ではないでしょうか.

 本書では泌尿器科診療の全ての領域にわたって,最新情報として押さえておくべきポイントについて,それぞれの専門家がコンパクトにまとめて記載しています.セッションの冒頭で,以前の常識(平成の常識)と現在の常識(令和の常識)がコラムとしてピックアップされています.これまでの常識について,「確かにそうであった」とうなずきながら読むことで,読者はここで安心することができます.そして,これまでの診断や治療の変遷を踏まえて読み進めることで,新しい常識を吸収しやすくなっているのが,本書の特色だと思います.診療ガイドラインや取扱い規約が改訂されて多数出版されていますが,本書では現在の常識として改訂ポイントをピックアップして記載しているので,最新の知見と改訂ポイントを一読で確認することが可能です.本邦の各種診療ガイドラインにおいて,EAUやNCCNガイドラインのような小まめなアップデートは,現実的には困難です.そのような現状ですが,次の診療ガイドラインが出版される前に,WHO分類のアップデートに伴う知見や海外のエビデンスを基にした知見など,すでに日常診療として実践されていることが多々あります.また,新規治療薬の国内承認が相次ぎ,用法追加承認もしばしば行われています.診療ガイドラインでは追いついていない治療方法についても,本書では新しい常識として取り上げられており,up to dateの診療を患者に提供する際の根拠として利用することが可能です.

これで解決! みんなの臨床研究・論文作成―辻本哲郎 著 フリーアクセス

著者: 後藤温

ページ範囲:P.77 - P.77

 本書の著者・辻本哲郎先生は,私が国際医療研究センターに勤めていた頃の同僚で,『Diabetes Care』『Hypertension』をはじめとする,一流誌に多数の論文を発表し続けている臨床研究のトップランナーの一人です.

 どうすれば,辻本先生のようにハイペースで,かつインパクトのある論文を執筆できるのか,いつかこっそり教えていただきたいと思っておりました.本書は,臨床研究の論文作成を究めた辻本先生による秘伝の書となっており,論文を書くためのイロハと,良い雑誌に採択されるための秘訣がちりばめられています.

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目次 フリーアクセス

ページ範囲:P.3 - P.3

次号予告 フリーアクセス

ページ範囲:P.81 - P.81

編集後記 フリーアクセス

著者: 大家基嗣

ページ範囲:P.82 - P.82

 新年明けましておめでとうございます.昨年の12月に行われました第109回日本泌尿器科学会総会では4,571名の現地参加をいただき,成功裡に終えることができました.大会長として厚く御礼申し上げます.

 テーマは「泌尿器科の世界観―比類なき専門性と多様性」といたしました.泌尿器科の専門性の高さとジャンルの広さを認識し,新たな世界観を構築して,次世代に伝えることが目的です.専門性と多様性とは相反する方向性をもちます.今回のポスターではヒニョウキという大木を中心に据え,背景に太陽と月を描写し,昼と夜が同時に存在する世界を表現しています.内科的診断・治療と外科的治療を同時に行う泌尿器科.つまり,二律背反するものが同時に存在する世界を表現させていただきました.この神話的世界には6名のギリシャの神々が降臨し,亀裂の入ったヒニョウキの周囲を守っています.この亀裂は泌尿器科医あるいは泌尿器というフィールドに思い入れのあるヒトにしか見えない亀裂です.なぜ6なのか? それは仏語の六大(六要素)からとっています.万物の構成要素とされる,地,水,火,風,空,識です.このあたりの説明は,学会プログラムと一緒に発行した「攻略本」に書いてはいるのですが,そこでは書ききれなかった経緯を説明させていただきます.

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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バックナンバー

76巻13号(2022年12月発行)

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76巻10号(2022年9月発行)

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