文献詳細
小さな工夫
過活動膀胱ボツリヌス療法の導入:次亜塩素酸ナトリウム溶液による失活と廃棄の簡便化
著者: 加藤久美子1
所属機関: 1日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院女性泌尿器科
ページ範囲:P.756 - P.757
文献概要
女性泌尿器科でボツリヌス療法を導入するにあたり,基本は外来ベースで,膀胱粘膜麻酔,硬性膀胱鏡を使うことにした.ボトックスの失活は外来看護師が面倒と感じがちな行程である.適正使用指針は,「処置後,残った薬液,および薬液に直接触れた器具(注射針など)は,0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液を加えて失活させた後,密閉可能な廃棄袋または箱に廃棄する」と記載している2).下水道法・水質汚濁防止法では,次亜塩素酸ナトリウムは廃アルカリに指定されており,pH5〜9以内になるよう希釈すれば下水に流してよいとされる.200ppm以下まで薄めるとpH9程度になるため,0.5%溶液(5000ppm相当)は25倍に薄めることになる.バケツに溶液を2L入れたら50L下水に流す計算となり,水資源の無駄に心が痛む.平形プラスチック容器(タッパーウェア®)にニードルを切って浸す形なら,溶液は少なくてすむが,失活した器具類や溶液を取り出して廃棄し容器を洗う手間は残る.そこで私たちは,プラスチック手桶で倒れないよう安定させた中にチャック付きポリ袋(ジップロック®など)を広げ,その中に400mL紙カップをセットして,溶液200mLを入れて用意することにした(図).処置後にバイアル,シリンジ,ニードル(70cm,内腔に溶液を通しはさみで切る)を浸し5分以上おいてから袋を密閉し,紙カップと中の器具類・溶液を袋ごと医療廃棄物として廃棄している.外来でも手間が少ないと受け入れ好評である.
参考文献
掲載誌情報