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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科77巻4号

2023年04月発行

雑誌目次

増刊号特集 泌尿器内視鏡最新手術 総論

内視鏡手術に必要な微細な知識(副腎・腎)

著者: 小林泰之

ページ範囲:P.8 - P.12

Point

◇手術操作の大半は結合組織の剝離であり,結合組織の構造,その扱い方をマスターすることが手術手技向上への第一歩である.

◇ゲロタ筋膜,癒合筋膜,腎周囲組織は疎性結合組織であり,コラーゲン線維を主体とした網目状構造物である.

◇ゲロタ筋膜が疎性結合組織であること,疎性結合組織は手術操作により多様に変化することを考慮すると,経腹的・後腹膜アプローチによって異なって見えることも説明可能である.

◇疎性結合組織は手術操作により,膜状構造物に変化することがあり,この変化が手術操作の妨げになることがあり,その取扱いに習熟することが大切である.

泌尿器骨盤内視鏡手術に必要な膜解剖

著者: 齋藤駿 ,   三木淳

ページ範囲:P.13 - P.18

Point

◇前立腺周囲の骨盤底筋膜と,膀胱周囲の骨盤内筋膜に分けて骨盤内膜構造を考えると,前立腺全摘除術や膀胱全摘除術の神経血管束(NVB)処理,骨盤内リンパ節郭清の解剖学的理解が深まる.

◇前立腺全摘除術におけるNVB処理の際,骨盤底筋膜であるデノビエ筋膜(DVF)と前立腺筋膜(PF)の層に基づいた切離ラインを決定する.女性の膀胱全摘における尿道と腟周囲処理の際,尿道と腟を覆った傍腟組織の確実な同定,切離により,出血の少ない安全な手術が可能となる.

◇骨盤内筋膜である膀胱下腹筋膜(VHF)と尿管下腹神経筋膜(UHF)によって形成される膀胱側腔と直腸側腔の術野展開により,膀胱全摘や骨盤内リンパ節郭清に重要な内腸骨血管の臓側分枝とリンパ流が同定される.

泌尿器領域におけるロボット支援手術の現状(da VinciとhinotoriTMの比較)

著者: 日向信之

ページ範囲:P.19 - P.24

Point

◇泌尿器外科領域における腹部メジャー手術のほとんどがロボット支援下に実施されることとなった.

◇各種手術支援ロボットの上市により,競争原理が働き患者に対し安価で質の高い手術が届けられるようになることや,今後の機能付加による医療革新が期待される.

◇国産手術支援ロボットhinotoriTMでは本邦の多くの外科医の意見を集約することにより,さらなる機能改善を果たしていくことが期待される.

副腎・腎・後腹膜の手術

腹腔鏡下副腎摘除術[右・左](reduced portも含む)

著者: 福原慎一郎 ,   野々村祝夫

ページ範囲:P.26 - P.30

Point

◇ロボット時代においても副腎摘除の王道であり続ける術式であると考えられる.

◇臍部に2本のトロッカーを留置する方法でも,肋骨弓下にトロッカーを並べる方法と大きく変わりなく手術可能である.

◇左右ともにしっかりと腹膜を展開すること(左の場合は脾臓をしっかり脱転すること),およびブリッジングにより副腎に適切にトラクションをかけ続けることが大事である.

*本論文中、[▶動画]マークのあるものにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2026年4月末まで公開)。

後腹膜到達法による腹腔鏡下副腎摘除術[左・右]

著者: 繁田正信 ,   古谷知己 ,   野村直史 ,   岩根亨輔 ,   福岡憲一郎

ページ範囲:P.31 - P.34

Point

◇後腹膜到達法の腎摘除術と同様,後腹膜腔を展開,腎背面,特に腎門部より頭側を,大血管周囲を含めて可及的に広く剝離しておく.次いで,腎腹側,内側を剝離し,最後に副腎―腎間を離断し,副腎を摘出する.

◇副腎へ流入する動脈は細く,術前に同定することは比較的困難である.大血管側から副腎背面につながる索状物を処理する過程で離断する.副腎中心静脈は左右で異なるため,それぞれ適切な時期に処理する.

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ロボット支援腹腔鏡下副腎摘除術[右・左]

著者: 山口徳也 ,   森實修一 ,   武中篤

ページ範囲:P.35 - P.41

Point

◇ロボット支援腹腔鏡下副腎摘除術(RA)の手術手技は腹腔鏡下副腎摘除術(LA)とほぼ同様に実施可能であるが,RAはLAと比較して,入院期間短縮,出血量減少などの利点が報告されている.

◇経腹膜アプローチは手術操作腔が広く手術手技の導入は容易であるが,後腹膜アプローチでは手術時間の短縮や術後疼痛の軽減などの利点が報告されている.

◇副腎皮質癌などの悪性腫瘍に対する副腎悪性腫瘍手術は,現時点でRAの対象とはなっていない.

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腹腔鏡下腎摘除術[右・左]:経腹膜アプローチ

著者: 猪口淳一

ページ範囲:P.42 - P.46

Point

◇腎周囲の膜構造を十分に理解したうえで,癒合筋膜,ゲロタ筋膜を適切な方向へ牽引し剝離層を作っていく.

◇両側とも腎前面の臓器を十分に脱転し,広い術野を展開することが重要である.

◇腎血管処理では周囲を十分に展開し,血管に対して垂直方向の剝離を行う.静脈壁上での剝離は容易に損傷を来すので注意する必要がある.

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腹腔鏡下腎摘除術[右・左]:後腹膜アプローチ

著者: 山崎健史

ページ範囲:P.47 - P.51

Point

◇後腹膜アプローチによる腹腔鏡下腎摘除は,泌尿器腹腔鏡技術認定医を目指す医師にとって基本的な手術となる術式である.

◇後腹膜アプローチによる腹腔鏡下腎摘除は解剖学的ランドマークが少ないため,できるだけ広い術野を確保し,剝離層を意識した手術操作が重要となる.

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後腹膜鏡下ドナー腎採取術[右・左]

著者: 西田翔 ,   岩見大基

ページ範囲:P.52 - P.57

Point

◇生体ドナー腎採取術は健常者への手術であり,正常解剖からの逸脱は少ない.CTでの血管走行など術前情報を十分に頭に入れたうえで手術を進める.

◇外側円錐筋膜を十分に切開し,後腹膜腔でのワーキングスペースを広くする.

◇組織を深く掘りすぎることなく,各フェーズで広く浅く剝離・展開して整った景色を達成する意識をもつ.腎動静脈・尿管を無理にすくい上げるような操作は慎み,「周囲組織を処理した最後に尿管と腎動静脈だけが残っている」という景色が作れるように手術を行う.

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単孔式ドナー腎摘除術

著者: 新田正広 ,   宮嶋哲

ページ範囲:P.58 - P.61

Point

◇単孔式腹腔鏡手術にポートを1本追加することで手術難度を下げることができる.

◇尿管は血流を確保するため,周囲の結合組織をなるべく温存した状態で総腸骨動脈交差部まで剝離する.

◇収納袋にあらかじめ腎を収納しておくことで,腎動静脈処理後,すみやかな体腔外への摘出が可能である.

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ロボット支援腹腔鏡下根治的腎摘除術[右・左]

著者: 柑本康夫 ,   原勲

ページ範囲:P.62 - P.66

Point

◇膜に沿った剝離・展開には,精細な3D画像が有用であり,プログラスプ鉗子などにより適切なカウンタートラクションを掛けるのが重要である.

◇腎血管の剝離には,ロボットの精緻な操作性を活かした鋭的剝離が有用で安全性が高い.

◇鉗子の力が強いため,ソフトな操作とともに,血管や腸管などを直接把持しないように心掛ける.

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ロボット支援腹腔鏡下腎尿管全摘除術[右・左]

著者: 齋藤満 ,   成田伸太郎 ,   羽渕友則

ページ範囲:P.67 - P.71

Point

◇ロボットの種類・機種にもよるが,安全で円滑な手術のための至適ポート位置,至適インストゥルメントの選択について十分に検討する.

◇下部尿管処理や膀胱カフ状切除の際,あらかじめ後腹膜腔(膀胱側腔)を広く展開し,適宜腸管を受動するなどして広い術野を確保する.

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ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術[左・右]:経腹膜アプローチ

著者: 高木敏男

ページ範囲:P.72 - P.75

Point

◇術前造影CTにて腫瘍と血管・尿路の位置を確認.

◇良好な視野での切除が望ましい.

◇腫瘍表面を意識した切除で,断端陰性を担保し,不要な血管・尿路損傷を防ぐ.

◇損傷血管や,尿路は丁寧に再建する.

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ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術[右・左]:後腹膜アプローチ

著者: 蓼沼知之 ,   槙山和秀

ページ範囲:P.76 - P.79

Point

◇腫瘍が背側に位置している場合や腹部手術の既往がある場合は後腹膜アプローチを選択する.

◇術野の展開に有利なため,4thアームを使用する.アーム同士の干渉を解消するためにポートを一直線上に留置する.

◇Early unclamp法を用いることで未処理の動脈断端を同定することができ,術後の後出血などを予防できる.

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ロボット支援腹腔鏡下腎盂形成術

著者: 吉良聡 ,   澤田智史 ,   三井貴彦

ページ範囲:P.80 - P.83

Point

◇ロボット鉗子の把持力は強いため,特に吻合部の尿管を把持することは極力避ける.

◇尿管にかけるスーチャーアンカーおよびその両隣2針は,結節縫合で行うことが望ましい.

◇針の出し入れは助手が行うため,カメラで追うことが紛失など,トラブル予防のため重要である.

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腹腔鏡下後腹膜リンパ節郭清

著者: 山下慎一 ,   伊藤明宏

ページ範囲:P.84 - P.87

Point

◇腹腔鏡下後腹膜リンパ節郭清の後腹膜アプローチでは,剝離層を意識して後腹膜腔を十分に展開する.

◇精巣腫瘍に対する腹腔鏡下後腹膜リンパ節郭清では,テンプレートで郭清する.

◇術後のリンパ瘻を減らすために,腎動脈や腎静脈周囲の脂肪組織はシーリングデバイスやクリッピングなどで丁寧に処理する.

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尿管・膀胱の手術

経尿道的膀胱腫瘍切除術

著者: 福原秀雄 ,   井上啓史

ページ範囲:P.90 - P.94

Point

◇経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)時の切除マージンは,あらかじめマーキングを行い,腫瘍より広めに切除することを心がける.

◇5―アミノレブリン酸を用いた光力学診断(PDD)や狭帯域光観察(NBI)といった光力学診断を併用することで,切除マージンをより明確にすることができる.

◇膀胱灌流液の注入と排泄のバランスを調整し,膀胱壁の伸展状況を意識しながら切除することを心がける.

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ロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘除術(男性患者)

著者: 全並賢二 ,   白木良一

ページ範囲:P.95 - P.99

Point

◇臍動脈索,尿管下腹神経筋膜,膀胱下腹筋膜などによって縦に分割される層を意識して適切な術野展開を行う.

◇腫瘍細胞の播種を防ぐため,膀胱を強く把持,牽引しない.

◇深陰茎背静脈叢(DVC)切断を含めた前立腺尖部処理,尿道周囲の剝離は細心の注意を払って丁寧に行う.

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ロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘除術(女性患者)

著者: 片岡政雄 ,   赤井畑秀則 ,   小島祥敬

ページ範囲:P.100 - P.103

Point

◇泌尿器科医にとって男性骨盤内手術はロボット支援前立腺全摘除術(RARP)により経験する機会が多いが,女性骨盤内手術の機会は少ない.婦人科手術,骨盤臓器脱修復術などの術書,動画は解剖の理解に有益である.

◇基靱帯,膀胱子宮靱帯などの解剖の理解が重要である.傍腟組織の処理をきちんと行えば,直腸損傷のリスクは少なく,ストレスが少ない手術である.

◇新膀胱腟瘻や骨盤臓器脱など女性特有の術後合併症の存在を認識することが必要である.

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ロボット体腔内回腸導管造設術

著者: 影山進 ,   和田晃典 ,   吉田哲也

ページ範囲:P.104 - P.108

Point

◇体腔内手術(ICUD)では腸管の愛護的操作は必須の手技であり,細心の注意を要する.ロボット鉗子による腸管の直接把持は極力避ける.

◇頭低位を浅めにして(膀胱全摘時25〜30°→ICUD時10〜20°),目的腸管を操作しやすい術野を形成する.

◇消化管再建(回腸機能的端々吻合)の要点に精通しておくべきである.

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ロボット支援腹腔鏡下代用膀胱造設術(腔内操作)

著者: 米山高弘 ,   大山力

ページ範囲:P.109 - P.113

Point

◇遊離する回腸の選択は,回盲部からの距離で決めるのではなく,骨盤底に無理なく届く部位を選択する.

◇頭低位による遊離回腸の頭側への落ち込み防止のため,遊離回腸を骨盤底に2-0 V-LocTMとHem-o-lokを用いて仮固定する.

◇新内尿道口は,3-0 V-LocTMを2本用いて遊離回腸プレートを尿道の6時から連続縫合し,形成する.

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ロボット支援腹腔鏡下骨盤内リンパ節郭清術

著者: 中根慶太 ,   髙井学 ,   古家琢也

ページ範囲:P.114 - P.117

Point

◇郭清領域は,レベルⅠ,レベルⅡ,レベルⅢと分類したほうがわかりやすい.

◇触覚のないロボット鉗子で血管を授動する際は,牽引力が強くなりすぎて血管損傷や血流障害が起きないように注意が必要である.

◇郭清したリンパ節は,腫瘍細胞の播種を防ぐため,その都度収納袋に入れて回収する.

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ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法

著者: 本田正史 ,   武中篤

ページ範囲:P.118 - P.122

Point

◇ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法は,膀胱鏡を用いてA型ボツリヌス毒素製剤を膀胱筋層に注入する治療法であり,手技は非常に簡便で,ほとんどの症例は外来で実施可能である.

◇硬性または軟性膀胱鏡を用いて行う.軟性膀胱鏡を使用する場合は,局所麻酔薬注入による膀胱粘膜麻酔下に行うことが可能である.

◇注入は三角部,頂部を避け,後壁,右壁,左壁に分割して行う.注入部位のシェーマを作成しておくと,よりスムーズに施行することができると思われる.

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単孔式腹腔鏡下尿膜管摘除術

著者: 矢西正明 ,   木下秀文

ページ範囲:P.123 - P.126

Point

◇尿膜管膿瘍・臍炎を繰り返し臍変形が重度で臍形成が必要と判断する症例を除いて臍を温存し,臍周囲に切開ポートを留置し,単孔式腹腔鏡下手術(LESS)で手術を行っている.

◇尿膜管組織は膀胱が開放するまで剝離・切除し,開放した膀胱は2層で縫合閉鎖する.

◇膀胱縫合時にはノットプッシャーを用いて体外で結紮操作を行うことで腹腔内操作を簡便にしている.

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前立腺・尿道の手術

経尿道的前立腺切除術

著者: 松尾朋博 ,   今村亮一

ページ範囲:P.128 - P.132

Point

◇切除開始前に,膀胱頸部―前立腺部尿道―外尿道括約筋の位置関係を十分に把握し,切除範囲のイメージを予想しておく.

◇“面”を意識して必要十分な前立腺の切除を行うことを意識する.

◇特に動脈性の出血は十分に止血し,切除片をすべて回収した後,手術は終了する.

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経尿道的ホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP)

著者: 遠藤文康

ページ範囲:P.133 - P.137

Point

◇術者にとっての適切なレーザーのセッティングを見つける.

◇常に止血を意識した剝離を行い,良好な視野を維持する.

◇解剖と術式を理解し,失禁を回避するため適切な尖部処理を行う.

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経尿道的レーザー前立腺蒸散術(PVP/CVP/ThuVAP)

著者: 宮内聡秀

ページ範囲:P.138 - P.142

Point

◇どのレーザー手術においても基本手技はほぼ同じ手順で可能である.気になった箇所をあちこち蒸散するrandom walkingは慎むべきである.凸凹した面は出血しやすく止血困難,術後の経過も不良であるため,滑らかな蒸散面を形成するよう意識する.

◇各々のレーザーの特性を十分に理解することが重要である.蒸散力はおおむね出力に依存する.最も大事なことは凝固層の厚み≒止血能≒熱変性の影響(一過性尿閉,排尿困難,排尿時痛など)である.

◇凝固層の厚みはCVP(半導体レーザー)>>PVP(KTP/LBOレーザー)>ThuVAP(ツリウムレーザー)であり,CVPとThuVAPは接触式ファイバーでPVPは非接触ファイバーを用いる.

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経尿道的前立腺吊り上げ術(Urolift®

著者: 大日方大亮

ページ範囲:P.143 - P.147

Point

◇前立腺の大きさに左右差があれば大きいほうから治療する.

◇膀胱への前立腺タブ迷入を避けるため,膀胱からの距離を15mm+膀胱内突出長mmとしっかり距離をとる.

◇尿道粘膜への損傷による出血を避けるために,膀胱頸部からの距離をとる際,粘膜に沿った形で計測するのではなく,デバイス先端を尿道の中心に置くことを意識し距離をとるようにする.

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前立腺水蒸気治療(RezumTM

著者: 設樂敏也

ページ範囲:P.148 - P.154

Point

◇水蒸気を熱源とし熱変性により腺腫を縮小させる治療で腺腫の大きな部分をターゲットとする,中葉肥大にも有効である.

◇膀胱頸部,尖部から1cm距離をとり1cm間隔で治療を行う.

◇術後は前立腺の浮腫が起こるため,バルーン留置が必要で治療回数によりその留置期間が変わる.

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ロボット支援前立腺全摘除術:手技定型化と再現性を重視した術式

著者: 小池慎 ,   吉岡邦彦

ページ範囲:P.155 - P.160

Point

◇困難症例にも対応できる膀胱頸部離断(正中アプローチ).

◇術後尿禁制回復に重要な側茎・尖部処理の手術操作.

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ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術:後方アプローチ

著者: 兼平貢 ,   髙田亮 ,   小原航

ページ範囲:P.161 - P.165

Point

◇膀胱直腸窩の腹膜切開時の切開ラインが高すぎると膀胱および尿管損傷のリスクがあり,低すぎると直腸損傷のリスクがある.

◇精管切断時は尿管と誤認していないか,その走行や精囊との位置関係を確認してから切断する.

◇膀胱頸部後壁の切開時は膀胱の厚みを確認し,窮屈な操作にならないように広く切開する.

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ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術:レチウス腔温存手術

著者: 河村好章

ページ範囲:P.166 - P.169

Point

◇前立腺背外側面の剝離を容易にするため体表側から糸付き直針を2本刺入し,精囊,精管を吊り上げる.吊り上げのため,精管は前立腺側に長めに残す.

◇側方処理のとき,神経温存をしない場合は内骨盤筋膜(EPF)をメルクマールにすると容易に剝離できる.

◇膀胱頸部を十分に鈍的剝離しないと膀胱頸部と尿道を的確に離断できない.

◇膀胱尿道吻合時,カメラを30°アップにする.使う糸はbarbed sutureとし,両端針ではなく別々に2本使用する.

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ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術:後腹膜アプローチによる前立腺全摘除術

著者: 川端岳

ページ範囲:P.170 - P.178

Point

◇ポート設置が終わるまでは腹膜損傷に細心の注意をはらう必要があるが,膀胱前腔をある程度展開できればその後は腸管が脱出しない程度であれば操作に大きな影響はない.

◇経腹膜到達法に比して,ポート位置が全体に尾側に位置するためインストゥルメントの関節部が骨盤壁に当たり動作制限や出血を来すことに注意すべきである.

◇摘除手技の各ステップで剝離が進むに従い,ロボット特有の強力な牽引の方向を細かく調節することが正確な操作につながる.

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ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術:神経温存手術

著者: 畑山智哉 ,   藤山健太 ,   郷力昭宏 ,   三田耕司

ページ範囲:P.179 - P.183

Point

◇前立腺背側へのアプローチの際は広い術野を確保する.デノビエ筋膜を丁寧に確認し,切開はデノビエ筋膜の前立腺付着部よりやや背側を選択する.

◇前立腺被膜に沿った剝離の際,前立腺背外側のprostatic pedicleでは剝離層が不明瞭になりやすいため,前立腺の形をイメージしながら時間をかけて丁寧に処理する.

◇前立腺を周囲組織から剝離する際は,神経血管束を含む構造物を損傷しないように細心の注意を払う.

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ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術:拡大前立腺全摘除術

著者: 宮内勇貴 ,   雑賀隆史

ページ範囲:P.184 - P.187

Point

◇拡大前立腺全摘除術(eRARP)は,拡大前立腺摘除(WR)に拡大リンパ節郭清(ePLND)を併用することを基本としている.

◇膜構造の認識が必要である.WRでは直腸の漿膜面を露出し意識すれば,直腸損傷のリスクを低減することができる.

◇拡大リンパ節郭清の際の認識すべき膜構造の内側縁は,尿管下腹神経筋膜であり,その面を露出するように意識する.

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尿道狭窄内視鏡手術:尿道狭窄症,膀胱頸部硬化症,膀胱尿道吻合部狭窄

著者: 新地祐介 ,   堀口明男

ページ範囲:P.188 - P.191

Point

◇尿道狭窄症と膀胱頸部硬化症・膀胱尿道吻合部狭窄では,治療指針が全く異なる.

◇膀胱頸部硬化症・膀胱尿道吻合部狭窄では狭窄部の側方を十分に切開するが,尿道狭窄症では過剰な切開を行わないことが肝要である.

◇内視鏡的治療にて再狭窄した尿道狭窄症は,尿道形成術の適応である.

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陰囊内臓器の手術

腹腔鏡下精巣固定術+摘除術

著者: 西尾英紀 ,   水野健太郎 ,   林祐太郎

ページ範囲:P.194 - P.198

Point

◇停留精巣のなかで非触知である場合,鼠径部皮膚切開によるアプローチで解決できない場合が少なくない.最近では腹腔鏡視に続いて腹腔鏡下精巣固定術が行われることが多い.

◇内鼠径輪付近の停留精巣には,通常の腹腔鏡下精巣固定術で対応する.

◇内鼠径輪から数cm以上頭側に存在する停留精巣に対しては,精巣萎縮のリスクの少ない通常の腹腔鏡下精巣固定術の剝離・展開を拡大する方法を選択するか,精巣血管を離断して精管血管による血流に期待して精索の距離を稼ぐFowler-Stephens法を選ぶかを判断する.

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小児・女性泌尿器関連の手術

経尿道的尿管瘤切開術

著者: 西盛宏 ,   山崎雄一郎

ページ範囲:P.200 - P.202

Point

◇尿管瘤切開は一発勝負である.切開部位の決定は時間をかけ慎重に行う.

◇瘤壁は厚いため,電極端子を用いる場合は純粋切開モードで行う.

◇瘤遠位端の根部(膀胱壁近く)を切開する.

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内視鏡下逆流防止術

著者: 中村繁

ページ範囲:P.203 - P.209

Point

◇内視鏡下逆流防止術を行う際には,壁内尿管の走行に沿った内視鏡の挿入と穿刺針の刺入が重要である.体位は低砕石位とし,術者が立ち位置を臨機応変に変更することが大切である.

◇この手術を成功させる鍵は,いかに壁内尿管の口径を小さくするか,いかに壁内尿管6時方向を強化するかである.穿刺注入する前から注入後の尿管口の膨隆をイメージし,そのイメージ通りに尿管をデコレートできるように,術中は穿刺の方向・部位・深度を工夫することが重要である.

◇穿刺針の深さを浅くするときは,単に針を引き抜くのではなく針を回しながら引いてくると針の深度を微調整できる.

*本論文中、[▶動画]マークのあるものにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2026年4月末まで公開)。

腹腔鏡下逆流防止術:膀胱外アプローチ

著者: 佐藤雄一 ,   桐花悠介 ,   小島祥敬

ページ範囲:P.210 - P.213

Point

◇下部尿管の剝離では,尿管をなるべく直接は把持せず愛護的に扱い,電気メスの使用を最小限とし,骨盤神経叢の温存に努める.

◇膀胱筋層の切開では,粘膜が十分に露出するように剝離し,尿管の直径に応じて切開長をデザインし,尿管膀胱移行部の筋層も全周性に剝離する.

◇Ureteral advancementを追加することで,粘膜下トンネル長をさらに延長することが可能である.

*本論文中、[▶動画]マークのあるものにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2026年4月末まで公開)。

腹腔鏡下逆流防止術:気膀胱手術

著者: 東武昇平 ,   前田晃宏 ,   野口満

ページ範囲:P.214 - P.220

Point

◇「適切な位置へのポート設置」と「気膀胱の維持」が本術式の完遂において最も重要なポイントである.

◇狭いスペース内での運針縫合スキルが要求される術式であるため,ドライボックスでの十分なトレーニングを積んだ術者が担当すべきである.

◇慣れないうちは体格の大きい症例に適応をとどめたほうがよい.

*本論文中、[▶動画]マークのあるものにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2026年4月末まで公開)。

ロボット支援腹腔鏡下仙骨腟固定術

著者: 新村友季子

ページ範囲:P.221 - P.226

Point

◇術前にCTで仙骨前面の血管走行を含む解剖を把握する.

◇ロボット手術の拡大視野で,組織の層構造を見極めた構造を壊さない繊細な組織剝離を心がける.

◇腟断端脱は剝離層の見極めに難渋する場合がある.腟断端脱症例は術式に慣れてからの導入が望ましい.

*本論文中、[▶動画]マークのあるものにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2026年4月末まで公開)。

結石関連の手術

経皮的腎砕石術(PNL)

著者: 加藤祐司 ,   松谷亮

ページ範囲:P.228 - P.234

Point

◇術前のCTと超音波検査で最良のトラクト作成腎杯がどこかシミュレーションする.

◇トラクト作成(穿刺と拡張)時の組織ダメージを最小限にするデバイスの選択と手技の習得が成功の秘訣である.

◇トラクトを愛護的に扱うことが術中出血の回避につながる.

*本論文中、[▶動画]マークのあるものにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2026年4月末まで公開)。

経尿道的尿管結石破砕術

著者: 竹内信善 ,   坂本信一

ページ範囲:P.235 - P.239

Point

◇良性疾患手術であり,尿管損傷に留意し,丁寧な手技を心掛ける.

◇術前の機材の準備を過不足なく行うと,手術がスムーズに進行する.

◇腎盂内に水圧をかけすぎない.

*本論文中、[▶動画]マークのあるものにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2026年4月末まで公開)。

経皮・経尿道同時内視鏡手術(ECIRS)

著者: 冨永浩紀 ,   藤田雅一郎 ,   井上貴昭

ページ範囲:P.240 - P.245

Point

◇体位は修正Barts体位もしくは修正Valdivia体位で行われることが多いが,症例によっては開脚腹臥位を選択することもある.

◇超音波下にB modeとWideband Dopplerを用いて腎葉間動静脈と腎錐体を特定して穿刺する.トラクトを拡張する際にも超音波下に動脈性出血の有無を確認する.

◇出血性合併症はトラクトのサイズに比例して増大するため,結石の大きさや位置,また穿刺実質の出血の程度に合わせてトラクトサイズを決定する.Mini PCNL(≦20Fr)でも治療完遂できる症例は多い.

*本論文中、[▶動画]マークのあるものにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2026年4月末まで公開)。

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臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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