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臨牀例
外傷性破裂により發見せられたる大網膜嚢腫の1治驗例
著者: 首藤正行1
所属機関: 1大阪帝國大學醫學部第一病理學教室
ページ範囲:P.53 - P.56
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大網膜嚢腫に就ては西歴1851年W. T. Gairderが屍體剖見によりその44例を發見せるを以て嚆矢とし,本邦に於ては皇紀2562年村田氏の報告を以て先驅とす。爾來現今に至るまで數多の症例に接したが大槻氏の調査に依るに(昭和15年)泰西に於て約100餘例,本邦に於て11例を算する程度で本症患者が臨牀醫家を訪れるは稀だといへる。
余は,腹部に外傷を被り腹痛を主訴とせる患者に開腹術を施し,大綱膜嚢腫を發見した。本症の術前診斷は他の腹部腫瘍と同樣に困難なるは周知の事實である。患者は受傷當日に至るまで全く自覺症状を缺如し,家人も亦腹部の膨隆に氣付かなかつた。斯る經過を執つた1症例に遭遇したので茲に報告せんとするものである。
大網膜嚢腫に就ては西歴1851年W. T. Gairderが屍體剖見によりその44例を發見せるを以て嚆矢とし,本邦に於ては皇紀2562年村田氏の報告を以て先驅とす。爾來現今に至るまで數多の症例に接したが大槻氏の調査に依るに(昭和15年)泰西に於て約100餘例,本邦に於て11例を算する程度で本症患者が臨牀醫家を訪れるは稀だといへる。
余は,腹部に外傷を被り腹痛を主訴とせる患者に開腹術を施し,大綱膜嚢腫を發見した。本症の術前診斷は他の腹部腫瘍と同樣に困難なるは周知の事實である。患者は受傷當日に至るまで全く自覺症状を缺如し,家人も亦腹部の膨隆に氣付かなかつた。斯る經過を執つた1症例に遭遇したので茲に報告せんとするものである。
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