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文献詳細

雑誌文献

臨床外科1巻4号

1947年07月発行

文献概要

臨牀例

胃外發育性胃癌に就て

著者: 齋藤亨1

所属機関: 1東京醫科大學第一外科

ページ範囲:P.22 - P.27

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緒言
 胃癌は病理解剖學的に,又は臨牀的方面より種々なる型に分類せられて居り,其の惡性の程度,手術の豫後等も,之等の型により異り,更に場合に依つては其の診斷さへ困難なる場合が尠くない。胃癌の發育方法に就ては勿論一般癌腫と同樣に惡性腫瘍の典型として,浸潤性,轉移性に發育乃至蔓延するものであるが,胃の腺上皮又は粘膜上皮より發生した癌腫は,胃壁に於ては筋層竝に漿膜に向つて深部發育を營むと同時に胃内腔に向つても成長する(三宅,山極)ものであるが,就中淋巴管の最も多く存する粘膜下層を傳はつて擴がり易い(三宅),とせられてゐる。從て淋巴腺轉移を除いては肉眼的に腫瘍全體として觀る時その膨隆は粘膜面に向つて現はれるのが常であつて,臨牀的に胃癌分類上最も推奨せられて居るBorrmann分類も主として胃内面に於ける變化を基礎として行はれてゐるのである。
 茲に胃外發育性胃癌と稱するのは多少珍奇なる名稱であると思考せられるが,1926年Knoflach及Eichelterが肉眼的に胃内腔への發育輕微にして,反對に胃外乃至腹腔への連續的發育を營める大彎部胃癌に遭遇して,之に胃外發育性肉芽腫性癌腫Exogastrisch-wachsendes Carcinomgragulomatosum des Magensなる名稱を附したのが嚆矢である 其後昭和3年. 生方,永共は胃後壁粘膜に原發せる所謂胃外發育性胃癌の1例を報告して居るが,胃癌に關する報告多數ある中に此種報告は極めて少いのである。余は東京醫大第一外科教室に於て胃大彎部に原發し胃外發育性胃癌と稱するのを適當と思はれる胃癌の1例を經驗し,尚當教室に於て以前に經驗せられた他の1例をも併せて此處に報告し,自驗例を基礎として些か本症に關する考察を試み,大方諸賢の御叱正を仰ぎたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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