icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科10巻11号

1955年11月発行

文献概要

特集 偶發症との救急處置

脊麻偶発症とその処置

著者: 北原哲夫1 三浦成元1

所属機関: 1東京逓信病院外科

ページ範囲:P.735 - P.741

文献購入ページに移動
緒 言
 全身麻酔法はわが国においても戦後急激に普及しては来たものゝ,腹部以下の手術に対する脊麻の価値は依然高く評価されている.患者に対する精神庇護の問題も適当な前薬剤投与によつて解決し得るし,極めて簡単な手技により確実な無痛のみならず,充分な筋弛緩が得られて手術がやりよい点は容易に他の麻酔法の追随を許さず,しかも経済問題もわが国情よりすれば軽視し得ぬところであろう.本法が広く随所で,特に実地開業医家に好んで用いられるゆえんである.われわれは放射性ヨードを混合注入して各種脊麻剤の髄液腔内における拡がりを仔細に調査した結果,確実な効かせ方についてはすでに結論を得て報告した(手術8巻8号,日外会誌55回5号)が,本法実施に当つての最大の懸念たる術中の血圧下降,呼吸障害の本態に関しては古くから副腎遮断説,交感神経遮断説,呼吸抑制説,延髄中枢障害説等多くの説がある.われわれはこの問題につき種々の面から検討を加えた結果,結局特に目新らしいことではないが交感神経麻痺に重きをおかなくてはならないことが判つた.よつてさらにこれに基づく合理的対策についても言及したいと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?