icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科10巻11号

1955年11月発行

特集 偶發症との救急處置

ショックの救急処置

著者: 植草実1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部外科学教室

ページ範囲:P.813 - P.817

文献概要

 外科臨床において外傷,出血,手術或は麻酔に伴ういろいろの偶発症の治療に適切な初期対策が特に大切なことは申すまでもない.ショックが初療の時期を失するか,加療に誤りがあると後では如何に精力的治療を施してもその回復を困難なものとすることは日常経験するところである.近年種々の検査方法の進歩に伴つてショックの病態生理,代謝,病理は漸く明かになつてきたとは云え,なお原因が何であつても急激な血圧下降に直ちに血管收縮昇圧剤を用いる誤りが犯されていないであろうか.また体位変換,移動など傷者・患者の取扱いが大まかに行われていないであろうか.正しい救急処置が望まれる所以である.ショックに至る原因,誘因は甚だ多様であり,侵襲の側にも個体の側にも求められるが,救急処置を適切に行うためには速かにこれを見定めることが必要である.またショックを早期に発見し,更にはこれを起しうる状態,侵襲に就ても知らねばならない。原因,誘因の主なもの,その応急処置に就ては別に悉しく述べられるのでこゝには外傷,出血,手術に伴うショック一般の場合に就て述べる.しかしショックは既に生体防衞機構の急激な破綻状態であり,従つてその治療は殊に急を要するものであつて,救急処置と云つてもそれはそのまゝショック治療の殆どであり何ら特別のことはない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら