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文献詳細

雑誌文献

臨床外科10巻11号

1955年11月発行

文献概要

特集 偶發症との救急處置

外傷性皮下胃・膵破裂の1例

著者: 大島幹雄1

所属機関: 1東京・いすゞ病院外科

ページ範囲:P.899 - P.900

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まえがき
 上腹部に加えられた鈍性外力による胃及び十二指腸等の管性臓器の皮下破裂の報告は屡々みられるが,胃皮下破裂に併発して実質性臓器の膵臓の破裂を合併するのは極めて稀であり,本邦では私の調べた範囲では雨宮・紫竹氏の膵・脾同時破裂と,新藤氏の膵・腎裂破,秋谷氏の膵・脾破裂の3例の報告を得たのみである.上腹部臓器の皮下損傷は,その損傷が単一臓器の場合でもその診断が早く,精力的な救急処置を施し得ても尚その予後は不良で,死亡率も高度である.二臓器以上の併発損傷は更に診断も困難であり予後も不良である.皮下胃・腸管破裂の死亡率は本邦で37%,Lauvitzen(1947)は427例中71%,Cohn(1952)は25例中20%,又1947年以降は16例に死亡例なしと云う.
 Walkerによれば受傷から開腹手術までの時間と予後の関係は6時間を境とし,それ以後は悪いと云う(第1表参照).一般に上腹部に加えられた鈍性外傷では,その臓器の解剖学的位置及び臓器自体の受傷時の諸条件によつてその損傷の部位,程度がそれぞれ異つてくる.蜂谷は圧縮された酸素ボンベの口から噴出したO2ガスにより経口的に空腹時の胃破裂の1例を報じている.Petryは胃13例,十二指腸9例を報じている.最近受傷直後から開腹術,死亡と約4時間の経過の1例をみたので報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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