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文献詳細

雑誌文献

臨床外科10巻2号

1955年02月発行

文献概要

綜説

小兒に対するラボナール筋注麻醉の経驗

著者: 池田静哉1 大垣治雄1

所属機関: 1東京医大整形外科

ページ範囲:P.117 - P.121

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緒言
 従来小児に対する優秀な麻酔法の出現を見なかつたために,ことに乳児の場合などには局麻或は無麻酔で,泣き且つ暴れるのを無理に押えづけて手術を行うことが当然視されてきた.これは小児の疼痛感覚の未完成という通念から平然と行われていたものであるが,手術野が動くために手術はさまたげられることが多かつた.この小児の泣き且つ暴れる原因が疼痛自体の表現ばかりでなく,恐怖心その他の心理的要素の表現でもあるので,局麻で疼痛を除去しえても充分なる理解・協力をえられる年長児以外には全く麻酔の効果を期待しえないのは当然である.そこで小児の麻酔には心理的要素をも除去しうる全身麻酔が必然的に必要となるわけである.現在小児に対する全身麻酔法として最も広く使用されているものは,エーテルの開放点滴麻酔であるが,これの偶発事故その他の危険性は論外としても,頸部・顔面などの手術の際には麻酔のために手術がさまたげられる.この様な不便を解消しうるものとして,吾々は江口氏2)等の提唱したオウロパン筋注による小児の麻酔法に着目し,オウロパンより副作用の少いといわれるラボナール(Thiopental sodium)を用い観血的・非観血的手術を行える小児40症例に,これの筋注麻酔を試み,最近良好な成績を得ているので,その経験及び多少の改良点について報告し,大方の御参考に供する次第である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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