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文献詳細

雑誌文献

臨床外科10巻3号

1955年03月発行

綜説

心臓手術時の脳栓塞防止に関する研究

著者: 坪井重雄1

所属機関: 1東京女子医科大学榊原外科教室

ページ範囲:P.167 - P.171

文献概要

緒言
 最近,心臓外科は長足の進歩を遂げたが,未だ或る程度の手術死亡例があり,此等を如何に防止するかと云う事が,我々心臓外科にたづさわる者の重要な研究課題と成つている.心臓手術の危険には種々なる因子が挙げられる.本教室の僧帽弁狭窄症121例中,死亡例を剖検を基礎として観察するに,第1表の如き死亡原因がある.中でも脳栓塞は極めて重要な合併症である.特に,僧帽弁狭窄症,僧帽弁狭窄兼閉鎖不全症の如く長期に狭窄の存在した例では常に発生し得る可能性があり,たとえ,手術直後に死亡しなくても,永久的部分麻痺を残すのも稀でない.最良の脳栓塞防止法は左心房内血栓形成を発生せしめる僧帽弁狭窄症を早期に発見し,手術を行う事であるが,早期手術が未だ一般に行われていない現在では,心内血栓を如何に処置して脳栓塞を防止するかが大きい問題として存する.其の防止法に成功するならば,此の種の手術の死亡率は明かに減少するのである.此の問題は欧米に於ても非常に関心を持ち,次の如き,各種防止法が発表されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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