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文献詳細

雑誌文献

臨床外科10巻3号

1955年03月発行

綜説

外科領域よりみたる結節性甲状腺腫

著者: 布施爲松1 太田庄司1 柳沢資高1 松岡茂1 浦野晃1

所属機関: 1信州大学医学部丸田外科教室

ページ範囲:P.193 - P.197

文献概要

I.臨床診断の重要性
 甲状腺の疾患は臨床的見地からのみならず病理学的見地からも極めて興味ある疾患である.余等は従来甲状腺疾患を第1表の如き臨床的分類の下に取扱つて居る.本文に於て述べる結節性甲状腺腫とは主として一側性に結節を形成し甲状腺中毒症状を示さず,稀にみる機械的障碍の他には特に症状を示さない所謂単純性結節性甲状腺腫Nontoxic nodular goiter(単甲と略記す)及び之と最も関聠性のある悪性甲状腺腫Malignant goiter(悪甲と略記す)とを指す事とする.悪甲の診断にI131等を用いる方法があるがその成績は必ずしも満足すべきものではなく,悪甲の早期診断は依然として多くの人々1,2,3)の不断の努力の対象となつて居り,従つて病歴,自覚的症状並に他覚的局所々見等のありふれた要素が今尚お臨床診断上重要な因子となつている.一般に結節性甲状腺腫の診断は治療の方針特に手術適応の決定,手術々式の選定及び予後の判定等に密接な関係があるから決して忽がせには出来ない.基底組織との癒着の有無等腫瘤それ自身の性格のみならず,非対照性の急激な増大,圧痛,大声,呼吸困難,嚥下困難,肩凝り,頭痛等を参考として詳細に観察して診断を下すわけであるが,更に手術診断,組織学的診断等を系統的に追及すれば後に記すが如くこの臨床診断が単なる便宜上のものでなく結節性甲状腺腫の特長を示す有力な資料となるのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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