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文献詳細

雑誌文献

臨床外科10巻4号

1955年04月発行

文献概要

綜説

乳腺腫瘍の統計的観察

著者: 岩田達男1

所属機関: 1久留米大学医学部脇坂順外科教室

ページ範囲:P.249 - P.254

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まえがき
 最近欧米は勿論,本邦に於ても乳癌の発現率は年々増加の傾向にあり,我々の教室に於ても乳腺の腫瘤を主訴とし癌の恐怖心を抱いて外来を訪れるものが漸次増加している.私は,我が教室に於ける乳癌を主とし,又その前癌状態として一連の関係を有すると思われる良性腫瘍並びに慢性炎症性腫瘤について,記載の明かな424例の統計的観察を試みたので,2,3の文献的考察を加え,以下報告しておきたいと思う.
 さて,乳腺に発生する腫瘍を大別すると,悪性腫瘍と良性腫瘍に分ける事が出来るが,前者の代表的なものは乳癌である事は周知のところで,諸家の統計では50〜90%を占めている.後者のそれは乳腺線維腺腫,慢性乳腺症等である.我が教室に於ける424例の乳腺腫瘍を疾患別に分類すると第1表の如く乳癌が最高で55.2%である.次は乳腺線維腺腫,慢性乳腺炎の順である.なお慢性乳腺症が乳癌の前癌状態の1つであると言う事は成書にもはつきり記載されつゝあるが,此れについては久留教授の詳細な報告1)があるのでこゝでは触れない.私は乳腺腫瘍の中で最も問題となる乳癌について以下統計的観察を行う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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