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文献詳細

雑誌文献

臨床外科10巻6号

1955年06月発行

文献概要

症例

興味ある外傷性肉腫の1例

著者: 武岡春雄1

所属機関: 1久留米大学医学部外科学教室

ページ範囲:P.409 - P.411

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いとぐち
 外傷特に挫傷が肉腫発生の素因を成すことは,広汎な火傷面やレ線潰瘍面等から時として癌腫が発生すると同様に,古くから識られている.
 さて,従来報告されている外傷性肉腫は骨に発生しもたのが多く,軟部からの肉腫は比較的少ない.就中,薬剤注射後発生したと思われる肉腫の報告は本邦に於いては,僅かに2例を数えるに過ぎない様である.即ち,益子1)は肺炎治療の目的で注射された部に発生した上膊軟部肉腫の1例をまた,原2)はビタミンK注射後に発生したと思われる鎖骨上窩淋巴腺肉腫の1例をそれぞれ報告している.ところで,私は,最近脚気治療の目的で右上膊に数回注射を受け,その後該部に腫瘤を形成し,諸検査の結果線維肉腫であることを確認した興味ある1例を経験したので,その大要を報告し併せて,2,3の考察を加え,以て諸賢の御批判を仰ぎ度いと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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