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文献詳細

雑誌文献

臨床外科10巻7号

1955年07月発行

綜説

胃切除術術後合併症としての腸重積症

著者: 森崎邦夫1 小谷不二夫1

所属機関: 1鳥取大学医学部外科学教室

ページ範囲:P.427 - P.431

文献概要

 胃癌或は胃,十二指腸潰瘍に対する胃切除術は近代化学療法の発達と手術手技の進歩とに相まつて優秀な治療成績を示し,最も優れた治療法であることは多言を要しないところである.けれども一面低率ではあるが,色々の合併症がおこることもまた事実であつて,いかに練達の外科医が快心のメスを振つて施術した場合といえども,これを避けえないことが有りうるものである.術後通過障碍,癒着性イレウス,縫合不全,術後吻合部出血等は一般に考えられる術後合併症である.ここで更に上述の合併症の他につけ加えなければならないのは胃切除術後腸重積症である.本症は単に胃切除術にかぎらず,他の腹部手術後にもおこりうるものであるが,ここでは特に胃切除後の合併症としての本症について述べたいと思う.諸外国においてはAngerer1),Wölfe2),Schmidt3),Bre—gadze4),Arduino8)等の胃切除術乃至胃腸吻合術後の腸重積症に関する報告を散見するが,本邦においても小柳6),奥村7),村山8),其他9-14,26)等の11例が既に報告されている.最近私共も胃癌胃切除術後発生した本症2例を経験したので,本邦報告例と合せて合計13例の本症について統計的な観察を試みると同時に,胃切除術後合併症としておこりうる腸重積症の存在を強調したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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