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文献詳細

雑誌文献

臨床外科10巻7号

1955年07月発行

綜説

脊麻後頭痛の本態に関する検討

著者: 九里愼之輔1

所属機関: 1東京逓信病院外科

ページ範囲:P.443 - P.452

文献概要

緒言
 脊髄麻酔法は全身麻酔法の進歩した今日と雖も実地臨床上幾多の利点を有し,特に経済的見地より我が国情に最も合致した無痛法と考えられる.本法実施にあたり血圧下降を中心とした術中ショックの問題は常に念頭を去らないが,その発生機序に関しては既に第55回日本外科学会上詳述した.脊麻後副作用として最も頻発し,患者,医師共々悩まされる問題の第一は術後頭痛であるが,その本態が極めて複雑多元的な要素を包含するために少くとも本邦に於ては今日迄敬遠されて来た.脊麻後頭痛の本態に関する明確な概念を把握することは極めて必要であると信ずる.
 此処に論ずる脊麻後頭痛とは,脊麻後発生し,多少に拘わらず脊麻に関係ありと思われる凡ゆる頭痛及びこれに附随する一連の症候群を総括意味する.従来欧米の諸家はこれに対しpostlumbar headache,postspinal headache,postlumbalerkopfschmerz等と命名しているが,多くは単なる腰椎穿刺後頭痛(postpuncture headache)ほどの意味で,脊麻後頭痛の全般を説明し尽すものでない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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