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文献詳細

雑誌文献

臨床外科10巻8号

1955年08月発行

綜説

強心剤Théraptiqueの急性低血圧症(Shock)への應用に関る研究—主として外科的適應について

著者: 田中正夫1 渡辺昭一1 楊大鵬1 鎌田四郞1 久保正敏1

所属機関: 1大阪市立医大沢田外科

ページ範囲:P.511 - P.517

文献概要

緒 言
 外科に限らず臨床的に遭遇する急性循環不全の状態には,二つの場合が考えられる.即ち如何なる治療もこれを完全に恢復する事の出来ない,云わば死に直結する循環機能を中心とする全生活機能の衰弱である場合と,適当な治療を施せば循環機能の正常化と共に,再び全く健康な生体として蘇生し得る場合とである.外科殊に手術に関連して遭遇する循環不全の状態は多く後者の場合であり,従つてその治療対策の適不適が相当の高率で患者の生命に影響する筈である.
 一般に外科医の取扱う急激な血圧降下を主徴とする急性循環失調は体内の血管床の容積とそれを流れる血液量のUnbalanceが種々な原因で起るためであることは,最近のShockの考え方の普及と共に一般に知られた事実である.従つてその治療対策としては絶対的或は相対的に減少した有効循環血液量を,適正な量に迄補給してやる事と,一方ではこれ亦絶対的或は相対的に拡張した血管床を循環量と釣合う様に收縮せしめる事とがその大筋となるべきものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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