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綜説
心室中隔欠損の外科的治療—選択的脳灌流冷却法の下に行つた直親下縫合手術成功例
著者: 木本誠二1 杉江三郞1 三枝正裕1 和田達雄1 浅野献一1
所属機関: 1東京大学医学部木本外科
ページ範囲:P.561 - P.568
文献購入ページに移動心室中隔欠損は先天性心臓異常の中で最も多いものの一つである.他の異常と合併する場合,例えばFallot氏四徴の部分的異常として見られるものが多いことは云うまでもないが,単独の異常としても日常屡々遭遇する疾患である.
心室中隔に見られる欠損には色々の型がある.最も多いのは中隔の上端,即ち膜性部Pars mem—branaceaにある欠損で,ここは胎生期に心室中隔が上方に向つて発達した際に残存する心室間孔Foramen interventriculareに相当し,後に大動脈中隔との癒合により閉鎖される部位である.両者の癒合が全く起らない場合には,欠損孔は甚だ大きく,大動脈は程度の差こそあれ多少とも左右心室に跨り(騎乗),大動脈壁の一部は直接右心室壁から出ることになつて,結局欠損孔の上縁は事実上欠如する.これはFallot氏四徴,或はEisenmenger氏症状群などに見られる所謂高位欠損である.
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