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文献詳細

雑誌文献

臨床外科10巻9号

1955年09月発行

文献概要

綜説

新局所麻醉剤Xylocaineの臨床経験について

著者: 新田一雄1 大越重1 遠藤瑞雄1 金子義良1 島影琢磨1

所属機関: 1北海道大学医学部第一外科

ページ範囲:P.611 - P.613

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 近時手術適応症の拡大とともに麻酔の発達は実に目覚しいものがあり,殊に新しい全身麻酔の発達によつて脳,心臓,胸部の分野に広い外科侵襲の適応が増大して来た.しかし全身麻酔の完全なる実施に当つては麻酔器具の整備と熟練せる麻酔技術者が必要で,優秀な麻酔方法ではあるが未だ一般化されるに至つていない.一方局所麻酔剤は1884年にCocaineが発見され,次いでNovo—caine, Nupercaine, Metycaine, Tetracaine等が合成され,今日迄麻酔領域の主なる立場を保持して来たが,亦将来薬剤の改良手技の向上があれば外科領域の進歩発展に資する事大なりと考える.
 局所麻酔の利点は簡単なる操作で全身状態を障碍せず生命の危険が僅微で手術野の出血も少く外来治療が可能である等であり,Morphinとの併用で反射的ショックも防ぐ事が出来かなりの大手術も実施し得る.しかし局所麻酔液の毒性,濃度滲透圧,Adrenalin添加による血行障碍等が原因で局所障碍が起り,又注射時の副損傷,全身中毒等が起り得る事は欠点とされているが,是も麻酔剤の改良発達により漸次逓減されて来ている事は慶ばしい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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