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綜説
人工腎臓の臨床的経驗
著者: 澁沢喜守雄1 丹後淳平1 西沢康男1 河野通弘1 芦田敬治1 松浦一1
所属機関: 1群馬大学渋沢外科教室
ページ範囲:P.1 - P.16
文献購入ページに移動こんどの朝鮮戦斗の外科史のうちで最も注目されるもののひとつは,前線から10マイルばかりの後方病院に設けられたRenal InsufficiencyCenterの広汎大規模な人工腎臓の装用であつたろう.外科的な急性腎不全にもとずく無尿症はその91%ほどが無尿発生以来10日ほどのうちに死亡する,甚だおそるべき状態であることは第2次大戦においてつぶさに体験された.Renal Insu—ffieiency Centerは人工腎臓を用いて,Balch2),Teshan49),Smith48)らの報告を通計して,この死亡率を50%台に引下げることに成功している.このような驚くべき優秀な成績は人工腎臓以外のいかなる方法を以てしてもあげることができなかつたところである.外科的な無尿は人工腎臓の好箇の適応というべきであろう.急性腎不全は戦争にあつては勿論であるが,平時においても落磐・埋没・外傷・熱傷などの災害に継発する傾向があるから,大学・大病院などの治療室にデンと据えつけたのでは最も有効な用途というわけにいかない.ポータブルあるいは少くとも移動式でありたい.
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