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文献詳細

雑誌文献

臨床外科11巻13号

1956年12月発行

文献概要

特集 吐血と下血 綜説

食道,胃静脈瘤と出血

著者: 杉江三郞1 坂本啓介1 久保忠1

所属機関: 1東京大学木本外科

ページ範囲:P.951 - P.960

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 食道あるいは胃噴門部の静脈瘤はそれらの部位における粘膜下層の静脈叢が静脈瘤様に拡張膨隆したものであり,その成因としては周知の通り肝硬変症やBanti氏症状群,あるいは日本住血吸虫症等にみるいわゆる門脈圧亢進症の随伴症状としてあらわれる場合が多い.この食道,胃静脈瘤がひとたび破綻出血するとしばしば致命的な吐血を招来するばかりでなく,頻回の吐血を繰返す場合でも結局予後が不良となる点で,外科臨床の上からもひとつの重要な関心事となつている.
 またこの食道,胃静脈瘤の出血は他の疾患による出血,たとえば胃潰瘍等の吐血と鑑別診断する上にも問題となり,さらにその吐血に対する処置対策の上からは,むしろその根底に横たわる門脈圧亢進症に対する処置を同時に考慮する必要があり,あるいはまた予め吐血の防止策を構じておく必要もあるという点で実地治療上もいろいろ問題の多い領域である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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