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文献詳細

雑誌文献

臨床外科11巻13号

1956年12月発行

文献概要

特集 吐血と下血 綜説

肝及び胆道の出血

著者: 槇哲夫1 対馬愼一郞1

所属機関: 1弘前大学

ページ範囲:P.975 - P.987

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Ⅰ.まえおき
 腹腔内出血或は吐血,下血を主徴とする急性胃腸管出血は日常の診療に当つて忽かせに出来ない問題であるが,臨床診断の困難な場合も少くない.例えば出血原因並びに部位等が不明のまゝに開腹せられたり,時には診断不明のまゝ適切な治療が行われない為に死の転帰をとることすらある.吐血下血と云えば直ぐ胃,十二指腸等の出血が考えられ易いが,それが案外胆道からの出血である場合もある.我々も最近胃或は十二指腸潰瘍出血様の症状を呈した胆道系疾患に因する出血例を経験し,上部胃腸管出血を来す一疾患群としての肝・胆道疾患の重要性を痛感している.今一般論を述べる前に先づ我々の経験した5例について反省し,次で肝・胆道出血に関しての綜説を試みよう.尚本稿では肝疾患による食道静脈瘤からの出血等については触れないことゝした.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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