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文献詳細

雑誌文献

臨床外科11巻13号

1956年12月発行

文献概要

特集 吐血と下血 綜説

止血剤に関する知見補遺

著者: 円山一郞1 秋山実1

所属機関: 1大阪市立東市民病院外科

ページ範囲:P.989 - P.991

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 そもそも止血剤を使用するに当つては,先ずその作用機序を熟知すると共に止血機構に関しその概念を知つておくことが必要である.即ち止血には1.血液凝固機構2.血小板の機能3.血管系の反応の3つの機構が関与し,これ等が互に協力して始めて止血が行われるものと考えられている.尚このことは出血傾向を有する者は1.血小板の減少を主とせる群2.毛細血管抵抗減弱を主とせる群3.凝固機構の変化を主とせる群4.その何れにも属しない群に分類されると云う吉植氏の研究成果からみても明らかなところである.然るに止血剤に於ては血液凝固機構に関与するものは数多く現われ,広く用いられているが,その他の機構に関与するものは僅かに存するにすぎない現状である.この時に当りAdrenochromazoneなる強力な止血作用を有する血管強化剤が現われ,これに関する報告が内外より多数に発表されているので,私共はこの製剤たるアドクノンと従来より常用されているトロムボゲン,カチーフ等とにつき出血時間,血液凝固時間,皮膚毛細血管抵抗力等の点より比較検討し,2,3興味ある所見を得たので茲に報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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