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文献詳細

雑誌文献

臨床外科11巻13号

1956年12月発行

文献概要

特集 吐血と下血 症例

患者血清中に発見した抗M正常抗体について

著者: 田中明1 橫山三男2 堀江茂3

所属機関: 1千葉血清研究所血液銀行 2東京医科歯科大学法医学教室 3字都宮済生会病院外科

ページ範囲:P.993 - P.996

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 1928年Landsteiner及びLevineがMN式血液型を発見し1),凡ての人血球は,従来のABO式血液群とは無関係にM型,N型及びMN型の3種類に分類されることを報告した.其の後ClausenはMN型の不適合輸血によつて抗M又は抗N免疫抗体が生ずることはないと報告した2).井関等は正常家兎血清中に抗N抗体を発見し3),更に正常人血清中にも抗M抗体を発見した.次いで欧米において,正常人血清中に,抗N正常抗体を発見したという報告が出され5-7),吾国においても,飯島及び関谷が抗M正常抗体について報告した8,9).特に飯島は輸血により抗M免疫抗体が出来て,それが輸血副作用の原因になり得ると報告している.吾々も,1例の患者に,かなり高い力価を有する抗M正常抗体を見出したので報告する.
 患者は既婚婦人,38歳.昭和29年8月肺結核の診断で,肺葉切除術をうけるため宇都宮済生会病院に入院した.現疾患以外に特記すべき疾患にかゝつた事はない.輸血をうけた事はなく,流産も早産もない.子供は3人で健在している.夫も健康である.兄弟は1人発疹チフスで死亡した以外は,現在3人健在である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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